第2話 ゲール副団長
騎士団長のサベルが「諸君、今日からこの騎士団の訓練に参加する3人だ。
みなも知っての通り、マーガレット王女、
デック、ルークだ。
3人、前へ。自己紹介だ。」
「バング公爵家のデック7才です。今日からよろしくお願いします。」
「姿勢の良さ。声の通り。まっすぐな良い性格だな。きっと剣筋もまっすぐなんだろうな。」ゲール副団長がボソッとつぶやく。
「メリサ男爵家のルークです。よろしくお願いします!」元気がいい。5才児そのものだ。
「まあ、元気がいい分。こいつもまっすぐな剣筋だろうな。しかし?立った瞬間、少し左足をずらしたな。これはいつでも走れる、逃げれる戦闘モードの構えだ。
無意識にしているとなると少し面白い奴かもしれないな。」またゲール副団長がボソッとつぶやく。
騎士団長サベルがマーガレットの肩に手をおいて「マーガレット王女だ。ただしここでは、
お前たち同じ、一騎士に過ぎない。特別扱いはするな。
これは、お妃様の言いつけだ。
それにお妃様も知っての通りこの騎士団で学ばれた。
この国最強の騎士の名をとられた方だ。
私の自慢の教え子だ。その最強騎士エーゼからの申出だ。
だからマーガレット、ここ騎士団では騎士団の規律に従ってもらう。いいな。ハハハ。
マーガレット前へ。」
「はい。マーガレットです。よろしく。」
満面の笑みを浮かべてニッコリ。
整列した騎士たちがざわつく。
「マーガレット王女、可愛いな。」
「こんなに近くでお会いしたのははじめてだ。」
「本当に可愛らしい王女様だ。」
「でもなんでマーガレット王女はこの騎士団の訓練に参加されるんだ?」
「それは決まってるじゃないか。
さっき騎士団長も言ってたろう、あの伝説の最強美人騎士のエーゼ妃のお子様だからじゃないか?お妃様の意思ってことか?」
「たぶんな。それにいくら最強騎士のお子様とはいえ、5才児に。ましてや女子が好んで受ける訓練じゃないよな。」
「そうだよな。王族のお遊びか?」
「それにお前ら知らないのか。
あのマーガレット王女は相当、性格が悪く手に負えないらしい。毎日侍女たちを泣かせていると聞いている。」
「ゲール副団長。その話、聞いたことがありまか。かなりのわがままぶりで手に負えないとか。」
「だから、嫌いなんだよな。王族は。」
「コツン。」
黒髪ロン毛を結わい直しながらゲール副団長はあの日のことを思い出していた。
どこのだれかわからない俺様を狩に出かけていた国王が道端に生き倒れていた子供の俺様を
だまって騎士団長のサベルに預けてくれた。
俺様の命は国王に救ってもらったようなものだ。
国王は本当に優しいお人だ。
だからこそ多少、出来が悪い王女でも
俺様は助けようと誓うが。
「そうだとしてもこの国の王女だ。
わかっているな。俺様たちはこのカリタス王国を守る騎士団だ。」
「はい。ゲール副団長。失念でした。
すいません。」
騎士団長サベルの大きな声が響く。
「訓練を始めるぞ。」
騎士たちは中庭いっぱいに広がり剣術の稽古をはじめた。私たち3人は前に立ったまま見ていた。
よく見ると実際教えているのはゲール副団長のようだ。
デックが「早いな。あの剣筋。ゾクゾクする。」
「だよな。あのゲール副団長カッコイイな。」
横に一緒に見ている可愛い私は何かモヤッとするものがあった。「ゲール副団長」
『嫉妬だぞ。ハハハ。』東の塔、鏡が光る。
「誰?」
デックが「どうした?マーガレット。」
「何か声が聞こえたきがして?」
「僕には聞こえなかったけど。大丈夫か?」
「えー、大丈夫。ありがとうデック。」
デックの顔が少し赤くなる。
横のルークは「マーガレット、空耳なんじゃない?」かなり無神経な男の子だ。
でも私と同じ5才児だから仕方ないわね。
男の子は成長が遅いって侍女のリリーが言ってたわね。
子供にこの可愛い私の魅力は伝わらないわ。
ふふふ。
でも東の塔から何か聞こえた気がした?
気のせいか。
「こらー。そこ3人。特にマーガレット。
怠けるな。剣を持ちまっすぐ立つことはりっぱな、訓練だ。真面目にやれ!」
遠くから騎士団長のサベルが
「おい、ゲール。これは命令だ。
この3人の面倒はお前が見ろ。
りっぱな騎士に育てるんだぞ。ハハハ。」
「団長ー。いやですよ。子守なんて。」
ゲール副団長の言葉に今度はイラっとした。
このゲール副団長とは気が合いそうにない。
キライなタイプだ。
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