王族悪役マーガレット王女に鏡の呪い?城から逃亡~出逢ってしまった気弱な魔王ダンに干渉される?
京極道真
第1話 最強わがままマーガレット王女誕生
ここカリタス王国にそれは可愛いらしい王女が生まれた。
カリタス歴998年。夏。
「オギャー、オギャー」
「王女の誕生だ!」
国中が祝賀ムードに包まれる。
のちの最強わがまま王女マーガレットの誕生だ。
同じ頃、魔界でも魔王の王子誕生。
のちの気弱で最強魔王ダンの誕生だ。
上と下。外と中。現実世界と魔界は背中合わせ。表と裏の関係だ。
数千年に一度、2つの世界が交わるときがある。
それを人々は混沌と呼ぶ。
カリタス歴998年。夏。
まさに今年がその年にあたる。
夏の夜空に無数の流星群が。
一瞬光ってすぐに消えてしまう星たち。
「まるで、はかない人間のようだ。ハハハ。」
一番古い塔の東塔。
数百年は封印されているその塔のてっぺんに
古い大きな鏡がある。
鏡の中から時の番人が口ずさむ。
「カリタス王国、魔界が動いた。
さあ、楽しませておくれ。
2つの世界が動き出す。」
偶然か運命のいたずらか、
この年に2人は誕生してしまった。
そして月日が流れた。
「マーガレット様。マーガレット様。」
侍女たちがマーガレットを追いかける。
カリタス王国マーガレット王女5才。
「パタパタパタ。」
寝起き早々、侍女たちを困らせる。
「お着替えは、いや。」
ポーンと着替えのドレスを投げつける。
広い部屋を駆け回る。
天上からの長いカーテンにぶら下がる。
まるでサルのように飛び跳ねる。
朝の顔洗いの水はわざとこぼす。
マーガレット王女のいたずらは半端じゃない。
侍女たちもヘトヘト。朝から大騒ぎだ。
「マーガレット様。お待ちください。
早くお着替えをなさってください。
朝食に間に合いませんよ。
国王、お妃様もお待ちですよ。」
そういながらマーガレット王女を捕まえようと挟み撃ち。
「ゴッチン。痛い。」
侍女同士、頭がごっつんこ。
素早いマーガレットはベットの上を走りまわりジャンプと同時に
ドアが開いた。
「パン。パン」手を打つ音がマーガレットの部屋に響く。
「はしたないですよ。マーガレット。」
お母様の声。
「お母様。」満面の笑顔でマーガレットは、
ダッシュでお母様に飛びつく。
マーガレットのお母様は、このカリタス王国の妃でもあり、この王国最強の美人で
最強の戦士。エーゼ王妃。
お母様はマーガレットのあこがれの人だ。
「マーガレット。わがままとお転婆が過ぎますね。
見て御覧なさい。
部屋中、まるで盗賊が入ったようにぐちゃぐちゃですよ。
それに見なさい。侍女のリリーたちも疲れ果てていますよ。
これでは将来良い女王にはなれませんね。
国王、お父様もお嘆なさいますよ。」
「ごめんなさい。」と素直なマーガレット。
聞き分けのない5歳児だがその素直さと
最強の可愛い笑顔で謝られるとみんな、
ついマーガレットのわががままを許してしまう。
大人たちはマーガレットの笑顔に弱い。
賢く、ずる賢いお転婆のマーガレット王女は、5才児にして笑顔を振りまく。
自分に都合の悪いことはなかったことに。
ほんとうにわがままな自己ちゅうに育ってしまったようだ。
鏡の中から時の番人が口ずさむ。
「そろそろ出発の時か。いや、まだだ。」
城の東の塔の鏡が光る。
同じ頃、元気過ぎるマーガレット王女の
お城での一日がはじまる。
朝食タイム。
細長いテーブルに国王、妃、そして私、マーガレットが座り朝食をとる。
お母様が口を開く。
「マーガレット、今日もまた朝から侍女たちを困らせていましたね。
少し早いかもしれませんがあなたは将来、
このカリタス王国の女王にならなくてはいけません。国民にも示しがつきません。
今日から王族のマナーを学びなさい。」
「えーっ?お母様。私は5才になったばかりです。王族のマナーのお勉強は私には早すぎます。それより剣術の訓練をお願いします。」
私は、物を握れるようになってから
無意識のうちに剣を握って遊んでいた。
もちろんレプリカ。おもちゃの剣。
カリタス王国の最強の戦士。
エーゼ王妃、母親が遊び相手で。
だから正直、王家の歴史に、他国の言葉に
テーブルマナーにダンスには全く興味がない。
いくら尊敬するお母様の言葉でも、受けたくない。
私の怠け者の心を見透かしたように
「いいでしょう。もうしばらく待ちましょう。とはいかないわ。
お勉強は王族の基本です。
それに今日から剣術は騎士団長のサベルが
教えます。」
「えっー、お母様が教えてくださらないのですか?」
「そうです。今まではお遊びでした。
これから本気で学んでもらいます。
それに公爵家子息、男爵家子息の2人も一緒に剣術訓練に参加します。」
「お母様がいい。」
ぶーっと頬を膨らませる。
こういう仕草はまだ幼い。5才児だ。
マーガレットあなたは、この国最強の戦士、
エーゼの娘です。
誇りを持ちなさい。
男の子に負けてはいけません。」
「はい。」
お父様、国王はニコニコでお母様と私の会話を聞いている。
お父様は優しい。限りなく優しい。だけ?は言い過ぎだ。基本カリタス王国は、
女子が強いようだ。
そしてその日の午後、剣術の訓練が始まる。
カリタス王国の制令部隊、騎士団長のサベル。横に小さな騎士。
公爵家子息デック7才。黒髪に緑の瞳。
男爵家子息ルーク5才。金髪にブルーの瞳。
騎士団長のサベルが「さあ、はじめるぞ。
マーガレット。デック。ルーク。」
私たちは3人は剣を握った。
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