村に到着。そこにいたのは…
すっかり日が沈んだ頃、ようやく目的の村にたどり着いた2人は、食事や風呂は次の日の朝に回して、宿で休むことにした。
次の日、宿が提供してくれる朝食と風呂を済ませた後、身支度をして出発した。
ラクラから教えてもらった、魔族が拠点にしている森の方向に歩いていくと、2人の男に声をかけられた。
その2人は、同一人物かと勘違いしてしまいそうになるほど顔がよく似ているし、髪型や色だってまったく同じだ。武器もおそろいで、二本の短剣を腰に掛けていた。違いと言えば、背の高さぐらいだろうか。背の高いほうが、遊ばせている髪を指でいじる。
「あなた方は…?」
そうルロナが問いかけると、2人は声をぴったり合わせて言った。
「「僕達は、特異点冒険者!」」
2人の胸に取り付けられたエンブレムが太陽の光を反射する。
そして先に、背の低いテンションの高い男が声を上げた。
「僕達は双子なんだ!珍しいでしょ?」
「ええ。確かにそうですね」
「僕は兄のニカリ!よく弟に間違われるけど、背が低いせいなのかな?まあ、よろしく!」
確かに、一見すると背が低く、テンションの高いニカリの方が弟に見える。しかし彼はそこまで気にしているわけではなさそうだ。実際、双子は産まれた時間が少し違うだけで、歳が違うわけではない。だから彼は、兄と弟という意識があまりないのかもしれない。
ルロナも、たとえ産まれた親が同じだとしてもまったく別の人間だと思っているので、兄弟という認識が薄い。
「じゃあ、僕も説明していい?」
そんなのんびりした声を上げたのは、背の高い男。
「僕はニコリ。弟だよ〜。……他になんかいうことあるかな?」
ルロナは彼に、ニカリとはまったく違うものを感じた。ニコリは兄とは違い、おとなしく落ち着いた雰囲気が強い。正直、落ち着いていて、背も高いニコリの方が兄らしさはあるのかもしれない。しかし、ニカリと同じく、兄や弟というのはあまり気にしてないようだ。
「ところで、どうして私達に話しかけてきたの?」
ファレナが当然の疑問を口にする。それに対し、ニカリとニコリは笑顔で答えた。
「「だって君たち、あっちの森に行くんでしょ?」」
「ええ、そうですが…」
「ってことは、例の魔族達の集団のところにいくんじゃないの?」
「なぜそれを…?」
「なんか獣人の人から、その集団を倒すために、特異点冒険者と青い髪の魔法使いが来るって聞いたんだけど…」
なるほど、ラクラが念の為、ルロナとファレナの2人以外にも冒険者を送ってくれたのだろう。それが想像以上の実力者だったというだけで。
ルロナは、こういう話なら大歓迎だ。依頼が円滑に進むのなら、むしろ自ら頼みたいほどだった。
「なるほど、そういうことなら、共に行きましょう」
「「うん、よろしくね。」」
「僕達、連携には自信があるんだよ!」
そう言って、ニカリが短剣に手をかける。
ニコリもまったく同じ動きをした。
「敵が可哀想になるくらいにはね〜」
そうして、特異点冒険者3人と魔法使い1人。あまりの過剰戦力が、進軍を開始したのであった。
不穏な空気が溢れる暗い森へと。
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