永遠の時をあなたと/外伝【一路邁進:薬師への道】

SHINTY

憧れのアシュヴィン双神

庭園での宴会で

【双神へのアプローチ】

下界で暮らすナイト一族。

彼らの元祖はシヴァ神とその神妃の分身であり、地位は高い。



「私達が下界にいた頃とはだいぶ変わりましたね。」



「ほんとに。下界に長く居ただけで低地位扱いでしたし。」



ふふっと笑い、グラスの中身を飲み干す二人の男。

同時に空になったグラスを見て、顔を見合わせクスクス笑う。


まるで鏡を見ているようなその相手。

同じ日・同じ母親から生まれた双子の兄弟である。



「あっ、アシュヴィン双神のグラスが空になってる!」



そう言って駆けて来たのは10歳のセフィーナだった。

天界の医師に憧れる彼女はこのチャンスを逃さない。



「どうぞ、アシュヴィン双神。」



空いたグラスにソーマ酒を注ぎ、そのままさり気なくその場に座り込んだ。



「こうして宴会に呼ばれる事もありませんでしたよね。」



「そうそう、ソーマ酒も飲ませてもらえませんでしたね。」



遠い昔を思い出しながら、2人は宴会を眺め、ソーマ酒を飲む。


彼らがそんな待遇を受けていたのは、下界に留まり人間を救っていたから。

今のシルビア達と同じ事をしていたのに、昔は理解されずに蔑まれていたのだ。



「まあ、私達は人助けができればそれで」



「幸せでしたよね。ふふ、そんな話も今は昔です。」



クスクス笑い、料理を摘む。


セフィーナは2人の会話を聞きながら、話しかけるタイミングをうかがっていた。



「ん、この味……。ふふ、良い蜂蜜を使っていますね。」



新しく運ばれて来た料理を食べ、蜂蜜の味に笑顔を見せるアシュヴィン双神。



「はちみつ美味しいよね!私、大好きなの!」



子供が入れる話題など限られている。

ここぞとばかりに身を乗り出すセフィーナ。



「セフィーナちゃんは何の蜂蜜が好き?」



その勢いに笑って尋ねるアシュヴィン。



「スービーのはちみつ!クマの可愛いやつ!」



「スービー?」



「クマ?」



セフィーナの答えに首を傾げる。


彼らは蜂蜜の種類を尋ねたつもりなのだが、彼女が答えたのはメーカーの名前。

アメリカでは誰もが知るメーカーであり、クマの容器に入った蜂蜜がセフィーナのお気に入りだった。



「クローバーの蜂蜜ですよ。これには菩提樹の蜂蜜を使っていますけど。」



顔を出したシャスタが笑って説明した。

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