卒業旅行はサイクリングで

ムーゴット

小説バージョン

第ゼロ話 

小学校の卒業式の翌日、

クラスメイト仲良し6人は、サイクリングに出かけた。


「卒業旅行だね。」

今朝、おかあさんは、うれしそうに言った。


「私は台湾に行ったのよ。」


「それって、大学の時の話でしょ。」


「そうそう、初めての海外でね、、、、、。」


「もう、出かける。いってきまーす!」


莉奈りな、気をつけてね、いってらっしゃーい!」







楽しいサイクリングのはずだったのに。







カァン、カァン、カァン、カァン、

踏み切りが鳴り始めた。


男の子たち3人は、踏み切りで動けなくなったおばあさんを、

何とか外へ出そうと、もがいている。


おばあさんを支えながら、武佐士むさしくんが叫ぶ。

莉奈りなちゃん、ボタン押して!」

かすみちゃん、萌音もねちゃん、誰か大人を呼んで!」


「わかった!!」

女の子3人の声が揃った。

二人は、踏切の外にいる車へ走る。


あたしは、ボタンの前で躊躇ちゅうちょした。

パニックってこういうこと!?

頭がグルグルして、信じられないくらい声も大きくなる。

「これって、押しちゃダメなのじゃないの!?」


「今は押す時!早く押して!」

武佐士むさしくんも声がでかい。


「、、、固い!押せない!」


莉奈りな!バカぢから出せ!」


無理むりぃー!!か、ったぁ、いぃ!!」






雷人らいと、お前、押してきて。」


「ダメだよ、3人がかりで、やっとおばあさん、支えているのに。」


「いや、まず押した方がいい。僕が行く。」

ひとりが、おばあさんから離れて駆け出す。


孝太郎こうたろう!任せた!押せぇ!」


「走れぇ!孝太郎こうたろう!」






「固い、無理、かった、、ぁい。」

あたしが押さなきゃ、あたしが押さなきゃ、あたしが押さなきゃ、


こんな時こそ、AIに聞いてみよう。

スマホを開くが、、、、。

「間に合わないよぉぉおぉ!」


みんなが死んじゃう、みんなが死んじゃう、みんなが死んじゃう、


あたしは、スマホをギュッと握り直すと、

非常停止ボタンに叩きつけた。






カァン、カァン、カァン、カァン、、、、、。

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