何が起こったかわからぬ不穏さ。
まるで嗤い声が聞こえそうなくらいに清々しく、いっそのことコミカルに感じる上質な皮肉さ。
そしてそれらの奥に目立たず、だが淡く淡々と確かに存在する切なさ。
この作品では、それらが調和したリズミカルな短歌が109首、綴られています。
明るい口調の裏で切り捨てられるモノ、暗い情景の中で確かに救われたようなモノ。
楽しみと、苦しみ。
言葉遊びともいうべき秀逸な言葉選びによって、静かにスポットライトを当てたように鮮やかに照らし出されるそれらの対比に、たった31音あまりの一首一首に引き込まれること、間違いなしです!
大変上質な短歌集だと思います。ぜひご一読ください!