第5話 オットーさんの爆弾発言
カミールさんがアルコールを買っている間…
ローレン「見て見て!」
オットー「ローレンくんはホントに漫画が好きだねえ」
意外!
ローレン「だって面白いよこれ、登場人物みんなエルフで耳尖ってるんだよ」
オットー「そりゃそうだろうよ。
エルフはこっちの漫画見て、登場人物みんな人間で、耳が丸くて面白いねって言うのかね。
こっちはエルフのファッション誌か
…服はカラフルでメルヘンでいいけど、モデルの見分けがつかねー!
外国人とか、世代が違う人の見分けがつかないって言う人、こういう感覚か!」
バイオレット「実際は色んなエルフがいますけど、モデルは大体金髪ですっきりした感じの人が選ばれますからね」
金髪ですっきり…
オットー「よかったねローレンくん、エルフに産まれてもモデルになれるってよ」
ローレン「光栄です。
さてと、今日の部屋割りは、」
じゃーんけーんぽーん
オットー「バイオレットさんよろしくねー」
やっぱりオットーさんに先にお風呂に入ってもらう。
あれっ。
今度はバスローブ忘れてくんかい!
でもまあ、無いと困るだろうし持っていこう。
よかった、ドア閉まってる
…って、あれっ?
私物らしきパジャマが置いてある!
「どうしたのー?」
中から声が聞こえてきた。
「あっ、バスローブお忘れになったかと思って持ってきたんです。
でも、パジャマがあるってことは、あえて置いて行かれたんですね」
「おー、お気遣いありがとう。
せっかくだから置いていってよー」
「は、はい…?」
オットーさんは本当にバスローブの方を着て出てきた。
「いいんですか、わざわざご自宅から持ってくるほどお気に入りのパジャマなのに…」
「いいのいいの、どうせならバスローブ着て、毛がつくのを気にせずたっくさんバイオレットさんをモフモフしてからお気に入りのパジャマを着るからさ」
「あははは!」
「ふぁー、癒されるー。
生まれ変わったら猫になりたいなあ」
「このご時世の人間は大変ですもんね。
…そういえば、結婚したら収入まずそうとか仰ってましたけど、今はお金大丈夫ですか?」
「さすがに今は仕事なさすぎてキツイけど、感染症さえなくなれば大丈夫。
あの時はコーディさんが、30過ぎてフラフラした独身バンド!みたいな言い方したから、つい言い訳しちゃっただけ。
ファンが減ったら減ったでローレンくんとカミールには飲食店の収入もあるし、僕はそれこそ僧侶の回復魔法で稼げばいいしね」
「なるほど… それなら本当に今回のトリニティ退治を頑張らないとですね」
「うん、それさえできれば全員お金は大丈夫だから、
バイオレットさんを花嫁としてハミング王国に連れて帰っちゃおうかな!」
…えっ?!
「そんな…私は…」
「まあ、返事は最後の最後、もっと僕らのことをよく知ってからでいいでしょ」
「な、なんで…
それを言うなら、オットーさんだって私のこと、まだよく知らないはずなのに…」
「バイオレットさんが魅力的だなんて、すぐわかるよ。
やっぱり、仕事を頑張る人間からしたら、侍従スキルの高い人はパートナーとして魅力的なんだよ。
まあたしかに言うの早過ぎかなとは思ったけど、いつ帰ることになるかわからないし、今のうちに少しでも考えといてほしいなーと思って」
冷静で合理的過ぎて逆に嘘臭い
…本当にそれだけかなあ?
私のこと好きでも何でもなく、フラットに見てるカミールさんと同じようなこと言ってるし。
オットーさん、生まれ変わりたいほどにネコが好きだし、私のこと可愛いって言ってるし、
軽薄だと思われたくないからそうは言わないだけで
…一目惚れ…じゃないかなあ?
だとしても、それを責めることはできない。
私だってローレンさんのことを…
「ところで、なんか楽器できたりしない?
できれば音の低いやつ。
僕はドラムの他もマリンバとか太鼓類しかできないし、カミールもたまにハープは弾くけども」
「できるわけないでしょう!」
「まあ、バイオレットさんなら、やるとしてもフルートとかオカリナとかそれこそハープとか、綺麗な高い音が出るのが似合うもんねえ」
「そ、そんなあ…」
「さーてと、パジャマに着替えてくるかな」
紫の生地にたくさんの星柄がついていて、同じ柄のナイトキャップまであるという、成人男性が着るにしてはやたらファンシーなパジャマだ。
そんなオットーさんの隣で眠る…
この人がオットだったら毎晩…この光景…
愛する人の隣でドキドキしながら眠るよりも、
愛されて、ぬくもりと安心を感じながら眠る方が幸せだろうか?
ネコなんだし…
「なーに考えてんの!
僕のこと気になってきちゃったあ?」
な、なんで…
求婚してきた方が冷静なの?
「そろそろ起きなよ〜」
「あっ、おはようございます…」
オットーさんは既に起きて、ペンギンの衣に着替えていた。
「バイオレットさんの服はいつもかわいいねえ、今日はさくらんぼ柄なんだ」
なんだろう…
あんなこと言われたその瞬間から、やたらあったかい優しい目で見られてるような気がする…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます