第8話 ぜんっぜん答えられねえ…

3枚目の扉の前にはジュエリーでできたネックレスが2つ並んでいた。

『本物を当てよ』

ボブ「えー! どっちも同じじゃん!」

コーディ「女性物はわからんなあ…」

アナベル「私は一国の姫よ、小さい頃からこの手のものは見慣れているわ、こっちね」


4枚目の扉の前には金の腕時計が2本。

『ハイブランドのものを当てよ』

ボブ「これも同じじゃん!」

アナベル「うーん、男性物はちょっと…」

おっ、これならモデルとして多少心得がある!

よーく見れば細工の細かさとかで…

クロード「こっちです! 腕時計は大好きなんでね」

『お見事』

コーディ「お、おう早いな、ありがとう、凄いなあクロードは…」


5枚目の扉の前には何もなく、ミハエル王の荘厳な声だけが響いてきた。

『常識問題に答えよ。

 ハミング王国のボブ王子には人間の血がどれぐらい流れているか』

えっと…なんか聞いたことあるような。

でもまあ、これに答えるのは…

ボブ「ふっふっふっ、風来坊のヴァンパイアだった俺が、とうとう外国の常識問題になる日がきましたか。

   自分のことなんだから一番よくわかるよ、ワン・オンス!」

『ご名答』

ボブ「やったー! 超ラッキー問題!

   ねえ、ワン・オンスって、なんかかっこよくない?」

コーディ「そ、そうですね…」


6枚目の扉の前には、

クロード「またワイン?

     …うわっ、違う! 血だぁ!」

『片方はクマ、片方は重罪人の血、見分けよ』

ボブ「どっちもまずいやつじゃん、それ。

   そんなのをこんな高雅なグラスに入れるなよ、もったいない。

   でもまあ、人間にやらせてもしょうがないし可哀想だしね、おまかせあれー。

   まずこっちは…うわっ、まっず。

   そしてこっちは…うええええええ! まっっっず!

   マシなのがクマで、こっちが重罪人のだあ!」

『よろしい』

コーディ「えーっ、そっちの方がまずいんですか?!

     一応、人なのに?」

…本当に悪者にならないように気をつけよう…

しかし、みんな何かしら答えてるのに

…俺は…


そしてラスト、7枚目の扉は…

『ハミング王国のヒット曲を、ハミング王国選抜合唱団とエルフ社会人サークルが熱唱してくれた。

 AとB、どちらが選抜合唱団か答えよ』

ローレンのバンドの唯一のヒット曲かよ!

でも、やっときた!

俺はモデル人気の勢いで歌手デビューもしてるから、音楽には自信があるぞ!


♩闇夜に囚われた氷姫!

 僕が温めましょう!


クセと勢いがありすぎて、合唱団に歌わす曲じゃねえ!

エルフの国、自前のヒット曲ないんかい!

でも…これは声の伸びや艶感でわかったぞ!

「B!!」

俺は自信満々に声を上げた

…が、そこには他の3人の声も綺麗に重なっていた。

ボブ「だよね! だよね! さっすがあ!」

なあんだ

…みんな音楽に詳しいのか。

最後の扉がギーッと開いて…


『見事なり、賢き者達よ。

 ここまで来た者は実に1年ぶりだ。

 それではファイナル問題にチャレンジしてもらおう』

ボブ「まだあるんかい!

   そんなオマケは嬉しくないよ!」

クロード「なに? この皿の上の小さな…」

『AからCまでの皿、一つはロブスター、一つは普通のエビ、一つはザリガニだ』

全員「ざ、ザリガニぃ?!」

『ロブスターを選べば今度こそクリアだ。

 但し、ザリガニを選んでしまったら、不正解を超えた【地獄逝き】1年間挑戦権を失う』

アナベル「ええ…1年後では儀式は不成立よ。

     なんとしても…なんとしても当てなくちゃ…」

ボブ「でもさ、俺ヴァンパイアだからよくわならないけど、上等なのとザリガニならさすがにわかりやすいんじゃないの?」

クロード「それがさ…案外ザリガニって美味しいんだよ、レイクロブスターって呼ばれてたりしてね」

ボブ「ええー!! 

   さすが、仮にもロブスター呼び!」

コーディ「…任せて。

     エビは大好物だから」

アナベル「わかった。

     私もザリガニの寄生虫が怖いし、お願いするわ」


目をつぶって…ほとばしる出汁をよく噛んで…

一番プリプリしてるAが普通のエビだろう。

ロブスターとザリガニはどっちも淡白だが

…旨味があるのは…

「Cだ!」

『ファイナルアンサー?』

「ファイナンアンサー」

うわあ…

この間、沈黙、嫌だなあ…

祈ってる自分の…そして仲間達の心臓の音が聴こえてくるようだ

…みんな神様に祈っているのかな?

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