第6話 俺はモデルだ!
コーディ「なるほど…
結局、全部繋がってるんですよ。
自分は華がない歳上だ、と思って自信がないから好きだって言えない。
よし、ここはモデルの俺の出番
…ケビン王子改造計画!」
ケビン「えっ?」
コーディ「まずそのカボチャパンツがだせえ!
絶対、そんな脚だけ馬鹿みたいに太い体型じゃないでしょう!」
ケビン「でもこれ、王族の正装ですよ」
コーディ「なら家の中でぐらい、もっとかっこいいの着てください!」
ボブ「セクシーパジャマ?!」
コーディ「ボブ王子じゃねえんだからさ。
ケビン王子にそれは直接的過ぎて恥ずかしいでしょうから、部屋着で」
クロード「さすがモデル、部屋着と寝間着が別なんだ」
コーディ「とはいえ、今日は夜も近いのに買い物だの今から作るだのはできないので
…クローゼット見せて!」
さすが王族、クローゼットじゃなくて、もはや衣装部屋である。
しかも並の部屋の2倍ぐらい広さがあるぞ。
でも、よくよく見たらカメリア姫の服が大半で、ケビン王子用は今着てるのと誤差レベルの白系統ばっかりだ。
そういえば、メディアでお見かけするケビン王子って、いつもそうか
…白が王子らしいからかな?
でもまあ、そのぶんギャップを狙えるな。
ボブ「明日買ってくるしかないね」
アナベル「うーん、でも私達はできたら明日の朝すぐに立ちたいし…
クロード、魔法でおしゃれな服出せないの?」
クロード「服を出すこと自体はできます。
でも、『おしゃれな服』みたいな、頭にちゃんとしたイメージがない物までは出せませんよ」
コーディ「よーし! 任せろ!
なんか描く物貸してください!」
王族の私物は絵の具セットまで違う。
スケッチブックの紙質はずっと触っていたいほど滑らかだったし、筆は毛先の伸びが違い、絵の具は適当に塗っても塗りムラが出なかった。
コーディ「できましたよ」
黒に金刺繍の、全体の型のイメージはそのままだがシルエット細めの服である。
アナベル「さすがファッションブランド持ち、デザイン画が綺麗ねえ」
別に画は上手くないけどな。
完全に道具の力で良く見えてるだけだ。
でも、おかげでケビン王子もうっとりと目を輝かせて、やる気出してくれたみたいだぞ!
クロード「ここまで具体性があれば余裕だね!」
ボンッ!
ケビン王子はスタイリッシュになった!
ケビン「なんかキツいような…」
コーディ「カボチャパンツに慣れ過ぎ、グローバル的にはそれがジャストサイズですよ。
カメリア姫は異国からの嫁入りで、ご本人もジャストサイズを着てるんですから、こっちの方がしっくりくるはずです。
あとはファンデで肌整えて、髪が重い感じがするので毛先を跳ねさせてーと」
ボブ「かっけえ!」
ケビン「これが…僕…?」
ふふふ。
あとはカメリア姫のダンスレッスンが終わるのを待つばかり…
カメリア姫は部屋から出てきた瞬間、ケビン王子を見て目を見張り、口を抑えた。
カメリア「どうしたの?!」
コーディ「モデルの俺からの、泊めていただくお礼でーす」
カメリア「だとしても!
あなたってこういうお礼を喜んで受け取るタイプだったっけ?」
ケビン「華やかになって自信をつけたかったんだ
…はじまりは政略結婚でも、一緒に暮らしてるうちに
…きみを好きになったから、振り向いて欲しくて」
カメリア「えー! 嬉しいー!
話や趣味が合わなさ過ぎて、退屈な女と思われてるんだと思ってたー!」
カメリア姫に抱きつかれたケビン王子は、照れながらも笑顔で抱きしめ返した。
ケビン「今日はこの後…ずっと一緒にいたいな」
カメリア「わたしもー!」
俺達は宿泊者用の部屋に案内された。
もちろん夫妻と、俺とクロードに別れる。
コーディ「しかしケビン王子は、なんであんなに自信がなかったんだろうねえ」
クロード「メディアでのお姿を見るに、自信のないのはカメリア姫に対してだけでしょう、それも今まで巡り合わせが悪過ぎただけで。
…でもさ、僕としてはコーディにも同じこと言いたいね」
コーディ「そうだねえ、実際今でもエルフ王に関しては役に立てる気がしなくて自信は持てないけど
…まあでも、この件があっただけでも、来て良かったとは思えるね」
次の日、二人はニッコニコで俺達を送り出してくれた。
ケビン王子…素直でわかりやすいお方だ。
エルフの国は、透明感に満ちた巨大な花や、カ
ラフルでメルヘンな建物に溢れる美しい国だった。
そんな中、エルフ王の扉は物々しかった。
最初の扉はクロードの指鳴らしで瞬殺。
そして、知性の扉一枚目は…
なんだ?
モニターがついてるぞ?
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