第7話 ヴァンパイアの文化
ローレン「ははっ、姫様はたしかに紛れもなく人間の上位種ですね」
ボブ「あー、殺してから血を吸っても味が落ちるから生け捕り限定って訳ね…
ヴァンパイアのお偉いさんが姫様の血を熱望してるってとこだな。
なあんか、ヴァンパイアのこういう所が嫌なんだよね、ハミングなんて人間の通貨使っちゃってさ。
つまり、就職先だの日用品の購入だのは人間面して人間に紛れて人間の文化使ってる。
そのくせ、美味しそうとみれば躊躇なく殺すし、人間への感謝がないの。
人間は他の生き物の命をもらうときは『いただきます』と言うのにね。
普段は完全に自分達の世界で暮らしてて、人間とぶつかった時だけ自分の身を守る為に襲ってくるクマとかとは違うよ」
アナベル「だからヴァンパイア界を捨てて、人間の味方になってくれたの?」
ボブ「それもあるけど、やっぱり人間の女性の方がタイプなのもある。
これ言うとヴァンパイアには変態ケモナー扱いされるけどね」
ルイス「あー、異種族だもんね」
ボブ「ヴァンパイアが人間を誘惑してまぐわうことはあるけど、それは人間の血を少しでも入れると日光でも大丈夫な子供ができるからで
…完全なハーフだったら、半分の確率で人間、もう半分で日光に当たって大丈夫なヴァンパイアという都合のいい存在になるからで
…好きだからじゃないんだよね」
アナベル「そういえば、ボブもあいつらも日光大丈夫なの、妙だと思ってた…」
ボブ「今生き残ってるのは、大体どこかで人間の血が入ったヴァンパイアだからね。
日光が大丈夫になったぶん、寿命は人間の方になってるけど」
アナベル「ボブはどれぐらい人間の血が?」
ボブ「ワン•オンス! 8分の1。
ところで、人間の血が半分越えると人間になるから、
姫様、俺と子供作っても、俺の8分の1が効いてちゃんと人間の子になるよ、ど〜う?」
アナベル「バカっ! これはさすがにバカっ!」
ルイス「…しかし、全員ヴァンパイアに顔が割れちゃったね。
これから誰が買い物に行くの…?」
アナベル「勿論、すっぴんのボブでしょう!」
ボブ「えっ…やだよう」
アナベル「じゃあ他に何がある?」
ボブ「わ、わかったよ、ちくしょう!」
ボブは真っ赤になりながらすっぴんで買い物をしてきた。
ボブ「あー、恥ずかしい。
くー、姫様を狙ってる奴ら腹立つ、バルサンみたいに全員一箇所に纏めて退治したいー!」
ローレン「うん、本当にそうでもしないと、何回も追っ手を潰してるうちに全滅させたのに、
こちらはそれに気付かずに一生ビクビク逃げ続けるような、馬鹿馬鹿しい人生になりかねないよ…」
ルイス「でも、そんなことできる…?
ヴァンパイアのうちの悪い輩ばっかり的確に集めるって…」
アナベル「…あっ!
できるかも。
みんな、ちょっと耳貸して」
ゴニョゴニョ
ボブ「…姫様、それでいいんですか?」
アナベル「いいのよ。
私だって早く自由が欲しいもの…」
ローレン「それを実現するには、色々と準備が必要ですねえ…
早速、今日から始めましょう」
作戦成功の為には、どれだけいるかわからないヴァンパイアを4人で相手にするのだから、まずは戦闘力を上げることが肝心。
ローレンはマイク殴打を極めると言って、歌いながら筋トレを始めた。
ルイスは、宮廷に拾われた時に人間として生きると決めたので生家のそばに埋めたという、藍色に金の縁がついた分厚い黒魔術の本を掘り出してきて、魔術修行を始めた。
ボブは、獣の血までなら我慢できるけどあんな奴らの血を吸って戦うのは嫌!
そもそも一匹分の致死量を吸い切るのも大変!
かといって、マイクやら槍やら棒状の物で戦ってもローレンやルイスよりリーチが短くて劣化版にしかならないので、投げる武器を作る!
と言って、石を研磨してコウモリ型刃物付きブーメランを作り、練習し始めた。
私も少しでも力になりたいな。
でも、ボブより更に小さい157センチだから…
アナベル「ボブ、ブーメランの作り方教えて」
ボブ「姫様のだとお花型とかいいかも。
でも、大丈夫? こんなのですよ、持てます?」
アナベル「えっ、全然そんな風には見えないけど…重っ!」
自然界にある石を手作業で刃物にすると、こんなに重いんだ!
ボブ「そら仕方ないですわ、ご無理をなさらず、お気持ちだけでもありがたいんで。
姫様にマッチョになられても、俺の方が困るんで」
アナベル「…でも」
ローレン「あっ、その扇子に薄い刃物ぐらいなら仕込めるんじゃないですか?
僕のカミソリ刃を分けてあげます」
ボブ「俺のもー」
ルイス「えっ?
2人ともヒゲ、生えるの?」
ボブ「…はっ!
オーマイガー、すっぴんに続いて、また姫様の前で俺の妖艶幻想が解けてしまったーっ!」
ローレン「ルイスぃ、なに他人事みたいに言ってるんだよー。
お前も10年と経たず生えてくるんだぞー、毎日剃るめんどくささを味わえー」
ルイス「ええ…」
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