夢の中の殺人鬼
頭カカエル
第1話
出間公園、それはこの地域に昔からある公園。公園というには、あまりにも薄気味悪く、遊具も無いため、子供たちも遊んでいない。
公園の中心には溜池があるが、ヘドロと投棄されたペットボトルや、ゴミ葉っぱなどで、とても池には見えない。そんなくる理由ない場所に何故か私はいた。
この公園には遊具はないが、公衆トイレがひとつだけある、私は無意識にその中に入っていった。
汗と震えが止まらない、足もなんだか重い、羽虫の音が耳障りだ、死角になっている所が見えると、そこには、二つの死体があった、性別年齢は腐敗が進み過ぎていてとても分かったもんじゃない、でも一つだけわかることがある、この二人の死体は腹が開かれていて中には内臓がない。
こんなことが出来るのはまともな人間じゃあない、そう思うと、近くに、落ち葉を踏む音が聞こえて来る、そしてその音はこのトイレに、だんだんと近づいてきている、遊びに来た子供?そんなわけない、今は午後八時だ、そんな時間に子供一人で来るはずがない、じゃあ一般人?その可能性はあるが私は直感的な何かで、そいつと出会してはいけないそう思った、トイレの後ろの小窓から身を投げたし外に出て走った。
だが、私を追いかけて来る足音が聞こえる、後ろを振り返る余裕はなく、ただ走るでも何故か前に進まない、走っているのに前に動けない、そう思っていると、背中に灼熱感が走る。その灼熱感はどんどん広がって行く、背中を綺麗に開かれている、あまりの痛みで声すら出ない、体が思うように動かないでも、確かにひとつだけ分かったことがある、犯人は女であることだ。背中を触られた時の手の柔らかさや、肌の滑らかさが女であった、そんなことを思っているうちに、私の意識はどんどん暗闇に落ちて行った。
部屋に感高い声が響き飛び起きる、それは自分の声であることを瞬時に私は理解した。ベットは汗でシミが出来ているが血はついていないし、ここは病院でもない、自分の部屋のベットの上である。
あれは夢だったのだ、だからあんなに足が重く、体も思うように動かなかったのだ、それでもあの死体のリアルさは、しばらく忘れることはないだろう。
喉の渇きを潤そうと思いリビングに降りると、テレビがつけっぱなしであった。なんてことはない、ずぼらな私が寝る前に消し忘れたのだろう。
いつも通りのことである、だがそのテレビに映った場所を見て私は目を丸くした。
「恐怖心霊スポット特集」そんな安直な、いかにも深夜帯にやっている安い番組のタイトルである。
そこに映っていた、薄暗い公園が、私の夢に出てきた公園と同じ公園なのだ、名前こそ違うが雰囲気から、何から、全てが同じなのだ、遊具が一つもなく公衆トイレが一つあることも含めて。
映像こそ作り物であったが、その場所に私はなぜか恐怖を感じる、霊的なものなどではなく、トラウマのような恐怖だ、急いでスマホを取り出しその公園の名前と、事件という、検索ワードで調べると出てきたのは、公衆トイレで女が二人腹を捌かれて内臓を抜かれていたという事件だった。
事件の詳細や腐敗状況までも全てが一致している、こんなことってあるのか?そう思い急いで夢について調べ始めた。
「デジャブ」一度も見たことがない景色のはずなのに既視感があったり、夢で見た光景が、その瞬間にフラッシュバックして少し未来を読める現象である。
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