食卓。

❄️冬は つとめて

第1話 水底に沈む。

気がついたら私は黒い縁にしがみついていた。下の水底に多くの仲間たちが沈んでいる。衣を剥がされ売られ、大量の水で洗われて仲間たちは今水の中に沈んでいる。


私はなんとか、縁にしがみつき溺れ死ぬことは無かった。だが、此処から逃げることはできるのか?

広く続く銀色の大地、谷底のように高い場所であった。


それに巨人がいる。


大地にはミンチにされたものの肉がさらされている。私は思わず目を逸した、水底に沈む仲間達と目が合う。白く膨らんだ体。


谷底にはまだ生きているものもいる。

「儂は男爵だぞ!! やめろ、助けてくれ!! 」

ゴツい体のものが叫んでいる。

大きな巨人が男爵を水の中に放り込み、そして火をつけられている。


「やめろ、助けてくれ!! 」

「熱い、熱い!! 」

水は煮えたぎり、放り込まれた男爵は茹で殺されていた。巨人は茹で殺した男爵の衣を剥ぎ取り潰しにかかった。


恐ろしく目を反らせば、ミンチされたものの肉が目に入る。その先に粉々にされたものが見える。あれもきっとミンチされたものの肉と一緒のものに違いない。私はただ恐ろしくて震えるしか無かった。


「いやーー、やめて!! 助けて!! 」

沢山の衣を着たものが衣を剥がされていく。そして……。


私は思わず目を反らした。

斬り刻まれる姿を見ることはできなかった。残酷な殺し方だ。



斬り刻まれるたものは、火にかけられた。斬り刻むだけでは飽き足らず火にかけている。そこまでの罪をあのものはおかしたのか。

ミンチにされたものも火にかけられ、白い粒と茶色の粉をかけられている。恐ろしいほどの憎悪が湧き上がる。だが私はこの縁にしがみついているしかできなかった。


潰された男爵と火にかけられミンチにされたものと斬り刻まれたものが合わされ、丸められていく。


白い粉と黄色い液体にくぐらせ、ミンチにされたものと一緒であるものにつけられ、煮えたぎる油に彼等の肉片で丸めたものを放り込んでいく巨人。


巨人は微笑んだ。


『コロッケ、できたっと。』


そして此方を振り向いた。


『あ、ご飯を炊いてなかった。』


私は水に放り込まれ、厚い蓋をされ……。

「熱い、熱い!! 」

これならば、仲間と一緒に静かに水底に沈んでいたかった。





【完】

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