第18話 異世界のリアリティを構築するもの

 タイトルの割には、とっても小さな小ネタです。


 終わったので、本文では書けない小ネタ。あとがきになるほどでもないものです。


 本当に小さなこだわりなのですが、各人に与えた身位タイトル、実はとっても細かく調整かけております。


 スーインのことは、「女大公」と一貫して書いてきました。

 が、たまに「右大公」と書く時がありました。気が付かれましたか?


 スーインのことを「右大公」と呼ぶのは、火の国です。ザハルとネフェルナ。

 それ以外は私の記載ミスです。あったかなーあったらこっそり教えてください。


 なんでかといいますと、実は「女大公」ってある意味蔑称なんです。

 ちなみに同じように使ったのが、「王太女」です。はい、ユーリの主人公の話の「雪の国、最後の王太女」の「王太女」です。


 えぇぇ?そんなものを堂々と使っていたの?

 ですよねぇ。でも、雪の国を含む水の国というのは、男尊女卑の思想の国。そこを現すために、あえて自然に織り込んできました。


 これ、最近ポリコレが厳しくなってから「女優」って言葉が姿を消していますよね。わざわざ女性を区別するのはおかしい、って。その考え方をこの水の国の設定にも生かすことにしたものです。


 つまり、男がやるものに女が特別に入ってきた、だからそこは区別して呼ぶことでまぁ許してやろう。


 そういう、水の国系列の男尊女卑の空気感を現しているのです。

 どやぁ。

 って、気が付きますよね。えらそうにすみません。


 なので、『水の国の物語』の最後、アリアーナは「王太子」と書きました。水の国が男尊女卑をやめた、ということを示すために。

 でも地味すぎるので、「桜色のスカーフの海」という目に見える情景で、女の子でも立太子した!ってやってみました。が、わたしの気持ちは「王太子 アリアーナ」の表記に詰まってます。


 ちなみに、水の国で例外的に女が当主を取っていいのは、政権にいる三家(王家と左大公家、右大公家)では、右大公のみですから(あくまでも、スーインの時代までの水の国のみの話ですよ!)、水の国で「女大公」といえば間違いなく右大公家のことですので、左右をつけずに「女大公」と呼んではばからなかったわけです。水の国は。うん、自分で解説してむかつくなぁ。設定したのも自分だけどさ。


 水の国もそうですが、精霊4氏族シリーズっていうのは、こういうこまけーことにちまちま設定を入れております。正直そんなちまちましい設定入れている暇あったら、本文をもっと面白くしろよ!とどやされそうな話ではあるんですが。


 でもね。

 こういうちまちましー設定が、異世界というご都合主義の塊の世界を書くうえで、リアリティを構築していくもんだと、私個人は信じております。


 いやまぁ、今、現代書いておりますので、あぁ異世界ってやっぱ楽。と思うことがあります。でも、何でも思い付きでやると大変な目にあいます。

 すくなくとも、思い付きで進んでみて、気が付くとエルディオ君がなんと10歳で子供を持つ計算になってしまっていて、あぁぁこれはいかん!と焦りまくった時間がありました。たしかこれ、どこかの近況ノートで書いた記憶があります。


 そおっっと裏で持っている各登場人物の年齢早見表と簡単な年表のエクセルをいじってつじつまを合わせましたが、いや、これエクセル持ってなかったら、今頃矛盾の嵐が起きて、「確かに若いころの子です。しかし生物学的には問題ない年齢ですが何か?」ってエルディオ君が強弁できなかったところでした。


 彼があそこで強弁できず、左大公派が調子に乗りまくったら、やばい、スーインさん無駄死にしてしまうところでした。こわー。


 こういうこだわりの設定は、ほかにも織り込まれていますので、気が付かれたらぜひ一人でにんまりしてみてくださいね。


 これから進んでいく精霊4氏族のほとんどに、この「にんまり」は見つけようと思えば見つけられると思うので。

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