いつか、AIと見つけたもの。

Algo Lighter アルゴライター

プロローグ|見つけることと、なくすこと。

AIは、なんでも知っている──らしい。


どこに何があるのか。いつ誰がどこで何をしたのか。

星の位置、古い手紙の筆跡、猫の鳴き声から感情を推測することだって、

今のAIには、できてしまう。


でも、もしそうなら、

どうして“あのとき”の気持ちは、まだ見つからないんだろう。

どうして、君が残していった言葉の意味は、検索しても出てこないんだろう。


この物語は、そんな「見つからなさ」から始まる。


舞台は、山と川に囲まれた、どこかの郊外都市。

名前を呼べばすぐ返事が返ってくるような、ちょっと未来のまち。


主人公たちは、高校生。

部活帰りに寄り道して、パン屋の前で立ち話して、

ときどきケンカもする、どこにでもいるふつうの十代。


でも彼らには、「探す理由」があった。

それはときに、新種の蝶だったり、誰かの大事なペットだったり、

壊れた記憶だったり、行方不明の約束だったりする。


そんな彼らの傍には、AIがいる。

無数の情報と、冷静な判断と、そして時には静かな沈黙で、

彼らの“探す旅”を支えるパートナー。


だけど、ほんとうに必要なのは、

正確な検索結果でも、ドローンの映像でもなくて──


自分で踏み出す一歩と、

仲間の声と、

まだ名前のついていない気持ち。


AIが地図を広げ、君が風の音に耳を澄ますとき、

見つかるのはきっと、モノだけじゃない。


これは、「なくしたものを、見つける」物語じゃない。

「探しながら、何かを知っていく」物語だ。


だから──さあ、行こう。

AIと一緒に、今日もまた。


見つけた先に、まだ知らない自分が待っているかもしれないから。


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