転生したら公爵令嬢だった!?

紫野 葉雪

第一章

1話

私、もとい籠塚 小鳥かごづか ことりは今本屋にいた。その時に携帯でメールが来た。友達からだ。その内容は、[こと、今から学校戻れる?]だった。私はため息をつきながら[何?またトラブったの?]と返信した。その返信に友達は観念したようで[実は、ことがゆりを叩いたって相談されたんだけど本当?]と言われた。そんなもの、事実無根に決まっている。逆に叩いてきたのはゆりの方だ。私は急いで否定する。


[私が叩くわけないじゃん。てか、ゆりが叩いてきたし…跡もしっかり残ってるんだから]


[え、そうなの!?何でその時言ってくれなかったの!?でも、ゆりも証拠見せてきたし…]


[りあはどっちの言葉信じてるの?]


 私は少しイライラしながら文字を打った。りあがどう思ってるのかが大体察してしまったからだらう。


[えっと…もちろん信用してるのはことだけど、証拠見せられたら…ね?]


[どんな証拠だったの?]


[写真だよ。いいから、こと早く来て?ゆりに一緒に謝ってあげるから]


 そんなもの合成でも何でもできるだろうにそれが証拠だと思うのか?私はりあの頭の悪さに軽蔑や呆れを通り越してもはや諦めを感じた。やっぱり人にやさしくしても返ってくるのは仇しかない。


[私がやったこと確定なの?]


[いや!そうじゃなくて、私は中立の立場だから!ことも正直になって謝ろ?ね?最悪な場合、先生に言うって話しにもなってるから]


[それを言う時点で中立じゃないじゃん。そんな人間に良いように利用されてたなんてね。もういいや、もうあんたらの友達じゃないし]


 と私が言うとりあは

「ごめん、確かに中立とは言えなかった。ことり、私に利用されてると思ってたの?私、そんなにつもりじゃなくて」

 と返信が返って来た。利用したつもりがない?本当に言っているのか?りあは自分が関係するトラブルは私に解決させる。先生に頼まれた雑用も私に頼んで自分はその場にいるだけで何もしなかった。他にも思い出したら次々と出てくる。もう限界なのだ、両親も友達もそして先生も

「ことりは優しいから」、「信用してるから」

 等と甘い言葉をかけ私を利用する。もうそんなことすべてがどうでもいい。

 あの後のりあからのメールを見ることなく、本を買って帰った。もうほとんど読んでしまったが、この本が欲しかったのだ。本こそが人間関係で廃れた私の心を癒やしてくれるアイテム。生き甲斐と言ってもいいだろう。さっさと帰って本の続きと推しを見たいと言う気持ちがはやる。その間にもりあからのメールは鳴り止まなくなり電話までの掛かってくるようになった。私は大きくため息をつきながらそれを無視し早足で家へ帰ろうとした。すると、子供が車に轢かれかけていた。可哀想に、その若さで死ぬなんて。と考えながら見ていた私がいつも間にか子供を突き飛ばしていた。子供は車から離れた場所で転けた。私は轢かれながら「馬鹿だなぁ」と自分に向けて呟いた。その刹那、私の体に強い衝撃が走った。そしては私は地面に背中を強打する。私は仰向けのまま内心で呟く。

(あ、推しの番組今日じゃん)


 と。そして、私は16歳でこの世を去った。

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