等身大のリアリティと構造の秀逸さ

創作初心者の気持ちが、ここまでリアルに描かれているとは──。
あらすじだけではわからない、ちょっとした“痛み”と“喜び”の波が、じわじわと胸にしみてくる作品です。

出てくるのは、名前だけなら一瞬で流しそうなような、ネットの片隅にいる“作家たち”。
でも、その一人ひとりに確かな物語と感情があって、だからこそ読んでいて他人事じゃなくなる。
書く人・読む人ならきっと「あ、これ自分だ」と思う場面がどこかにあるはずです。

構成も絶妙で、三話を通して読んだときに「あ、そういう仕掛けだったのか」と、
静かに膝を打つような納得感があります。
軽妙なテンポとユーモアの裏に、深い共感が隠れている──そんな印象の、上質な短編でした。

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