第一章 エリック公爵の戦術

第零話 転生

 「あなたは死にました...。」


 あ、そうなのか...。


 「あなたは選ばれました。あなたはとある国を救わなければなりません。一つの惑星に一つの超大国のみに支配される世界は非常につまらなく、面白味のないものです...。」


 分からんでもない。


 「あなたは神の娯楽のため、頑張ってもらいます。健闘を祈ります。」


 うん、なんで?

 

◼️◼️◼️◼️◼️


 と、いうわけで異世界に転生してしまった。

 しかも、どこかの国の将になってしまったらしい。もっといい選択はなかったのか?自分じゃなくてももっと適任がいるはずだ。はぁ、一体どうしたものか...。一先ずは情報収集をするとしよう。この部屋の棚の中に本位はあるはずだろう。


 立ち上がり、棚の近くへと行き、本を一冊とった。


 二文字程度で謎の文字がかかれている。恐らくこの世界の言語なのだろう。なろう系小説でよくある言語がわかるようになっていないのか。まぁ、さすがにそれほど都合の良いものはないのだろう。しかし、一から言語を習得するのは難しくないだろうか?あの女神?が授けてくれないのだろうか。まぁいい。いつかわかるようになるだろう。


 〔私はあなたの脳に直接声を送っています。言語が理解できないようですね。私が授けましょう。〕


 突然声をかけられ?驚いた。


 さっきの女神?と同じ声だ。これ絶対授けるの忘れてるやろ。


 その時、本の文字が歪み始め、最終的に日本語になった。これほどまでに都合のいいことがあるのか。「手記」。どうやら手記とかかれているようだ。恐らくこの身体の前の持ち主がかいたものだろう。


 表紙をめくり、読み進める。


 どうやら、私はイベン王国という国の将らしい。そして、イベン王国の中でもトップクラスの影響をもつマキュロス公爵の第七代当主。年齢は二七か。若いねぇ。親が早死してんな。名前はエリック・K・ウェリントン。えぇ、と、イベン王国は、最大の危機に陥いっていて、領土の半分近くが隣国というかライバル?のサスペンダー王国に分捕られて首都まで陥落してると。こんな時世だから王はニートみたいになって妻の実家のあるまぁまぁ離れたウラルトゥ伯国まで亡命しようとしてんのか。つまるところ自分が百年戦争のゲクランだとかジャンヌダルクみたいな救国の英雄になれよと言いたいわけね。いや自分より良いやついるやろ。なんで自分?自分は将として必要な才覚だったりがないぞ?あるのは戦史知識ぐらいだしメンタルも勇気も無いし別に賢いわけでも無いしな?終わったぁ。


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