10年間、家族のように寄り添ってくれた家政婦型アンドロイド・サナ。しかし突然の廃棄処分通知。理由は「感情というバグ」が発生したため――
アンドロイドが普及した近未来、「ロボット法」により感情を持つことを禁じられた彼女が最後に選んだのは、たった一つの本当の想い。
「もしもわたくしが人間だったら」という切ない問いかけ。別れの夜に交わされる、体温のない無機質なキス。SF設定を使いながら、普遍的な初恋の痛みと喪失を描いた秀作です。
ラストの余韻が胸に残る。アンドロイドと人間の境界を問う、切なくて美しい一編です。