【節3】制度が見なかった分岐点──遺言が導いた分断

遺言が示したのは“絆”ではなく、分断だった。

遺言書が見つかり、形式上の遺産分割は行われた。

だが、その裏には重大な構造的問題が潜んでいた。

相続人のうち筆頭者は、いつの間にか相続財産に抵当権を設定していた。

それは、本来共有されるべき財産の「個人化」であり、

他の相続人にとっては、事後報告すらなかった。

もう一人は、共有財産を“単独で取得”していたことが後に判明した。

しかも、その取得は正当な合意によるものではなく、

共有生計の破綻を前提としない、一方的なものだった。

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