キャラの無知さが作り出すこの小説の面白さ
- ★★★ Excellent!!!
この小説の一番の強みっていうのは、くどくなく世界観の説明をできる点だと僕は感じました。
なぜ、そのようなことを可能にしているのか。
それは、ツカサのキャラクター造形が関わっています。
彼は異世界から来ているので、当然この世界については何も知りません。しかし、狩りを楽しみ突っ込んでいってしまうキャラクター性なので、周りは説明せざるを得ないという状況に持っていけるんです。
このせざるを得ないというのが実に大切で、状況説明ってどうしてもくどくなりやすくなるんですね。それなのに必ずしないといけないという矛盾が多くの作品にはつきまとっています。
ただの無知の人にするにしてもなんでそんなに親切にしないといけないんだってなりますし、既知の人にするとなると、それは知ってることとなります。なので、ほとんどの作品は地の文で説明をすることになるんです。
しかし、この作品はツカサのおかげで説明に説得力が生まれています。そしてその説明がツカサのキャラクター性も作り上げているという奇跡のバランスで成り立っています。
【魔女】の信徒が現れたときもツカサが突っ込んでくれたおかげで説明せざるを得ない状況になり、話がスムーズにできるということになります。
話がスムーズになるってことは戦闘描写が面白くなるし、世界観にも入りやすくなる。そういったことでこの作品はツカサに支えられているといってもいいほどのものに仕上がっています。
つまり、主人公は飛び抜けて立っているということになります。平凡どこにでもあるようなキャラクターそう評価する人間はいないでしょう。