第8話 五行の関門

一行は砂漠を抜けた五角形の東屋に立ち寄りました。

旅の疲れもそのままに眠り込む玄奘達だったが

朝になってお互いの体が入れ替わっているのを知ります。


孫悟空の体、心は西海竜王「玉龍」

玉龍の体、心は天蓬元帥「猪八戒」

猪八戒の体、心は捲簾大将「沙悟浄」

沙悟浄の体、心は「玄奘三蔵」

那托の体、心は斉天大聖「孫悟空」

三蔵法師、心は善財童子「那托」


妖術だと訝しむ一行だったが、その時、空中に

次郎信君の姿が現れます。


東屋に声が響き渡ります。

「我は西王母の腹心、次郎真君、玄奘は今道教を捨て去り

仏門に帰依している。これは最後の恭順の機会なり。」

「玄奘が百八の煩悩の問答、試練に答えれば帰還を赦そう。

しかし今だ悟りの境地に至らねば、ここで果てるがよい。」


次郎の罵倒が沸き上がりますが

続けます。

「さて諸君、このまま東屋で朽ち果てるのを待つのも

退屈だろう。そこでだ、この東屋に5つの出口がある。」

「その難関を全て突破すれば天界としてもそなた達を認めよう。

長安に向かわせてやろうじゃないか。」

「これも西王母様の深い慈悲の賜物と、ありがたく拝命

するがよかろう」

「一つの門ごとに一つの五行の修得の場に繋がっている。

最初は全員が入るがいい。しかし最後に1人は苦行を続け

るために残る決まりとする。誰が最後の1人になるのか

よくよく考えることだな。」

「苦行を続けている者にも道中相談できるようにしてやるか

俺はほどほどお人よしだなと思うよ。」

「さあ木行の扉が開いたぞ。それでも尻込みするか?

玄奘三蔵の高弟とはそんなものかな?」


第一の門、木行、畜生道、東南アジアの密林

第二の門、土行、餓鬼道、賽の河原

第三の門、金行、人間道、オフィス街

第四の門、水行、修羅道、竜宮城

第五の門、火行、地獄道、火輪山


はてさて・・・

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