[32]: 闇への誘い、悪党の巣窟へ

俺が向かったのは、王都の裏通りにある寂れた酒場。

昼間だというのに薄暗く、いかにもな連中がたむろしている。

いわゆる、裏社会の連中の情報交換所ってやつだ。


俺「よお、ちょっと聞きてえことがあるんだが」


俺がカウンターに肘をつき、バーテンダーらしき強面の男に声をかけると、店内の注目が一斉に俺に集まった。

面倒くせえ視線だ。


バーテンダー「あん? 見ねえ顔だな、兄ちゃん。ここはアンタみたいなのが来る場所じゃねえぜ」

俺「『黒き月影』って組織について、何か知らねえか? 情報くれたら礼はするぜ」


俺の言葉に、店内の空気がピリッと変わった。

バーテンダーは目を細め、明らかに警戒の色を浮かべる。


バーテンダー「…知らんな。そんな名前、聞いたこともねえ」

俺「嘘つけ。お前らのその反応、絶対何か知ってるだろ」


俺がさらに踏み込もうとすると、奥のテーブルからガラの悪い男たちが数人立ち上がってきた。


悪党E「おいおい、兄ちゃん。しつこいのは嫌われるぜ?」

悪党F「俺たちの縄張りで嗅ぎ回るってんなら、それなりの覚悟はできてんだろうな?」


おっと、お出ましか。

望むところだぜ。


俺「覚悟? ああ、お前らを病院送りにする覚悟なら、いつでもできてら」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る