[21]: 宴の残り香と小さな忘れ物

村での大宴会も終わり、俺たちは上機嫌で王都への帰路についていた。

夜空には満月が煌々と輝き、なんともまあ、風流なもんだ。


ミリア「リュート様、本当にありがとうございました! 村の人たちも、とっても喜んでいました!」

俺「おう、ミリアが頑張ってくれたおかげでもあるぞ。料理運んだり、お酌したりな」

ミリア「えへへ…そんな…私なんて、お皿を割りそうになったりしただけです…」

リリアーナ「ふふ、リュート様は優しいですわね。でも、ミリアさんの笑顔は皆を元気にしていましたよ」


セシリアはというと、少し離れた場所で腕を組み、仏頂面で月を見上げている。

まあ、宴の席では結構飲んでたし、二日酔いじゃなきゃいいけど。


(それにしても、あのフードの娘…なんだったんだろうな)


宴の最後にチラッと見かけた少女のことが、ほんの少しだけ気にかかっていた。

その時、足元で何かがキラリと光るのが見えた。


俺「ん? なんだこれ」


拾い上げてみると、それは小さな銀細工の髪飾りだった。

繊細な花の形をしていて、月の光を浴びて儚げに輝いている。

宴の喧騒の中で誰かが落としたのだろうか。


(……まさかな)


あのフードの少女が落としたものだとしたら、ちょっと出来すぎだが。

ま、大したもんじゃないし、とりあえず懐にしまっておくか。

いつか持ち主が見つかるかもしれん。

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