[3]: ゴブリン? ああ、なんか緑の雑魚ね

森を駆け抜けること数十秒。

視界が開けた先には、見るからにファンタジーな光景が広がっていた。

…いや、ピンチな光景か。


数匹の醜悪な緑色の小鬼――多分ゴブリンってやつだな――が、豪華そうな馬車を取り囲んでいる。

馬車の周りでは、数人の騎士っぽい格好の男たちが必死に応戦しているが、多勢に無勢で見るからにヤバそうだ。


騎士A「くそっ! 次から次へと…! 姫様をお守りしろ!」

ゴブリンリーダー「グヒヒヒ! ニンゲンノオナゴ、ウマソウダ!」


そして馬車の窓からは、金髪碧眼のめちゃくちゃ可愛い女の子が怯えた顔を覗かせている。

うわ、王女様とかそんな感じ? どストライクですわ。


俺「おーおー、やってるやってる。テンプレ展開キタコレ!」


まあ、助けない理由もないしな。可愛い子もいるし。


俺「よっと!」


俺は近くの木の枝を蹴って、ゴブリンの群れのど真ん中に着地した。


騎士B「な、何者だ!?」

ゴブリンC「グギャ!?」


俺「どうもー。通りすがりの最強一般人、神崎琉斗でーす。ちょっとお掃除させてもらいますねー」


とりあえず、挨拶代わりに一番手前にいたゴブリンにデコピンをかます。


ゴブリン「グベラッ!?」


デコピン一発で、ゴブリンはくの字に折れ曲がって吹っ飛んでいった。

…あれ、死んだ? まあいっか。


俺「さて、サクッと終わらせますか。えーと、魔法とか使ってみるか。『ファイアストーム』!」


俺が右手を軽く掲げると、ゴブリンたちの頭上に巨大な炎の渦が出現し、一瞬で奴らを焼き尽くした。

まさに瞬殺。マジでチート。


騎士たち「「「………は?」」」

馬車の少女「………え?」


全員、口をあんぐり開けて固まっている。

いや、そんな驚かなくても。俺にとっては鼻歌交じりレベルなんだが。


俺「ふぅ、こんなもんか。後片付け、よろしくー」


パンパンと手を払いながら、俺は呆然とする騎士たちと少女に笑顔を向けた。


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