幕章 ヴェルデ・ローアグル・アウスバッハ
帝聖・大ギルディアナ帝国――。
かつて世界に「人」という存在を創造し、その礎を築いたセレスディア帝国の後継国であり、現在は異世界へとその武力を振りかざす軍事国家。
私の最初の記憶は、そんな巨大な国家の、冷たく無機質な実験室で始まった。身を置かれていたのは、ひんやりとしたガラスの容器の中。
その容器には、まるで商品タグのように「S-424」という文字が貼り付けられていた。最初はこれが「名前」なのかと思った。けれど、すぐに理解した。それは他の「個体」と私を区別するためだけの、無意味な記号でしかない、と。
隣の容器には、私の容姿と瓜二つの少女がいた。鏡を見ているかのようにそっくりなその子にも、同様の番号が振られていた。さらに周囲を見渡すと、同じ顔、同じ姿をした少女たちが無数に、まるでベルトコンベアに乗せられた製品のように並列に並んでいる。その光景を視界に収めた瞬間、幼いながらも自覚させられた。
私は、所詮、誰かの手によって作り出されたクローンの、一部に過ぎないのだと。
その残酷な真実を、私は最初の記憶として脳裏に刻み込まれたのだ。
記憶を得た、まさにその直後。
轟音と共に爆発が巻き起こり、黒い煙が実験室全体を覆い尽くした。白衣を着た科学者たちは悲鳴を上げ、混乱しながら逃げ惑う。しかし、彼らを追って突入してきたのは、フル装備の武装兵士たちだった。
「裏切り者には死を!」
感情のない機械のような声と共に、兵士たちは逃げる科学者たちを無慈悲に射殺していく。冷たかったはずの実験室とガラス容器は、たちまち彼らの鮮血で禍々しく彩られていった。地獄絵図と化したその場所で、私の意識は途切れた。
次に目を開けたのは、それからしばらく経った後のことだった。記憶はまだ途切れ途切れで、朧げだ。
そこには、私の身体に外傷がないかを確認する、別系統の科学者たちがいた。そして、その視線の先には、山積みにされた遺体袋。きっとあの襲撃で、私以外のクローン個体は、その生体機能を永遠に停止してしまったのだろう。
後に知ったことだが、どうやら私以外にもう一体だけ生存している個体がいたらしい。個体番号は「S-423」。私と一つ違いの、もう一人の私。しかし、その情報は、当時の私にとっては遠い世界の話でしかなかった。今の私が気にすべきことではない、と。
事件後、私は帝国の三大貴族の一つに数えられる名門、アウスバッハ家に、養子として迎え入れられた。
冷たい個体番号ではなく、名前を与えられた。
「ヴェルデ・ローアグル・アウスバッハ」
それが、今の私の名前だ。
名前を与えられてからの生活は、まさに劇的な変化だった。初めて「生まれてきた意味」を実感したと言ってもいい。アウスバッハ家の頭首、レイバルト・アルト・アウスバッハは、私を本当の娘のように扱ってくれた。
作られた命である私にとって、それは想像もしていなかった優しさだった。
まるで夢のように美しく、そして儚い日々。冷たい実験室よりも、遥かに温かい空間と時間が、ゆったりと流れていった。この日々がずっと、永遠に続くこと。あの頃の私は、心の奥底でそう願っていたのだろう。
しかし、そんな純粋な願いも、脆くも崩れ去ることになった。
セイレーン・アナビアス・ゼウス――。
全知全能の神ゼウスの孫娘という神話的な血筋を持ち、帝聖・大ギルディアナ帝国を統べる最高権力者、帝国の女王。
あの女は、自身の権力基盤を磐石にするため、帝国三大貴族の面々に在りもしない罪をでっち上げたのだ。
後に「帝国粛清裁判」と呼ばれることになる、歴史的な出来事。
当時、十歳だった私は、帝国特別法廷に参加させられた。その時の光景は、十五年の時を経た今でも、まるで昨日のことのように鮮明に焼き付いている。
それは「裁判」と名ばかりの、セイレーン女王の名の下に行われた、残酷な見せしめだった。
法廷に集まった参加者たちは、皆一斉に私の父――レイバルトに罵倒を浴びせた。その中でも、裁判官の一人は感極まったように立ち上がり、叫んだ。
「女王陛下と帝国の意思に背いた者は一掃し、破壊しなければならないのだッ!」
そう叫びながら、その男は手に持った書類を机に叩き付ける。その音は、法廷の静寂を切り裂き、私の心臓に深く突き刺さった。
結末は、問答無用だった。
三大貴族の頭首は全員が極刑判決を受け、死刑が決定。それに連なる家族、親類縁者は、その資産の全てを強制的に没収された。
私からすれば、奴らは「法」という正義の皮を被り、ただの強盗を働いたに過ぎない。そもそも、あの女の真の目的は、正義を果たすことなどではなく、頭首をはじめとした貴族たちの莫大な資産であったことは、揺るぎない事実だ。
他の二つの貴族がどうだったかは知らない。だが、少なくとも私の父は、決して不正な取引や横領などの悪徳はしていなかった。それどころか、慈善活動に尽力し、私のような身寄りのない子供たちを何人も養子に迎え、愛を持って育ててくれた。
そんな温かい人から、あの女は全てを奪い、そして私もまた、全てを失った。
その後、三大貴族は大罪人として帝国内で喧伝されたため、私を引き取ろうという者は、一人も現れなかった。
仕方なく、というよりも、これしかないという覚悟で、私は軍へ入ることを決意した。
あの女王の野望の手先になるのは、確かに気が引ける。だが、生きるためには、こうした苦い妥協も受け入れざるを得ない。
もちろん、元大罪人の家族という立場である私を、軍が最初は拒否するだろうと思っていた。しかし、帝国軍はどこよりも実力主義の組織だった。私は、ひたすらに努力を重ねた。
主席の成績で軍の士官学校に入学。在学中も、私を疎ましく思う生徒や教師たちを、圧倒的な成績で黙らせ続け、主席で卒業を果たした。
それから二年。
私は前線での武勲を異例の速さで積み重ね、ついには少佐にまで昇りつめた。冷たいクローン番号の「S-424」だった私は、「ヴェルデ・ローアグル・アウスバッハ少佐」となっていた。
そして今、私は新たな任地であるサイパン島へと向かう、輸送艦の中にいる。
輸送艦のプライベートな一室、その小さな窓からは、エメラルドグリーンに輝く広大な海が広がっていた。波の揺らめきに合わせて、船体は穏やかに傾ぐ。私はその窓枠に肘をつき、時折きらめく水面を眺めながら、古い記憶の断片を拾い上げていた。
「少佐殿! まもなくマリアナ諸島サイパンに到着いたします! 中央作戦室へどうぞ!」
突然の副官の声に、ハッと我に返る。気分転換で眺めていた海を後にし、作戦資料を片手に、副官と共に他の部隊が集まる中央作戦室へと向かった。
私の副官、ウィルヘルム・ヨアヒム・フォン・メルド少尉。彼は、去年士官学校を卒業したばかりの新人だ。驚くほど整った顔立ちのせいで、頻繁に女性と間違われる。可愛らしいとさえ言えるその容貌は、本人にとっては悩みの種らしいが、私から見れば些細なことだ。何せ、戦闘スキルと書類整理の能力に関しては、正直、私よりも上を行く。今回の作戦資料も彼が完璧にまとめてくれたし、これまでも戦場で何度も危機を救ってくれた、私の優秀な右腕だ。
狭い艦内廊下を、二人並んで歩き出す。
すれ違う兵士や士官たちが、こちらに気づくと一瞬、驚いたような表情になり、慌てて敬礼をしてくる。私はその一人一人の表情から、彼らの心の底を探ろうとする。
彼らの多くが、私が「クローン」であることに、何らかの差別意識を抱いているのだろうか。
そう考えると、胸の奥がきゅうと締め付けられる。実際は、私の深読みや誇大妄想に過ぎないのだろうとは思う。だが、そう考えてしまうのも仕方ない。私の生まれは、この世界では「特殊」なものだ。だからこそ、士官学校時代も、卒業後の前線でも、常に兵士や一部の上官から陰口の対象とされてきた。特に私のような立場の人間が、少佐という地位まで上り詰めることは異例中の異例だったから。
「そう言えば、ウィル」
私が不意に声をかけると、ウィルはすぐさま反応した。
「はい?」
「前にも一度、聞いたことがあったな。どうしてウィルは、私の副官になったんだ? 命令だから、という建前は抜きだぞ」
私が意地悪く笑って問いかけると、ウィルは一瞬の迷いもなく、強く答えた。
「前にも言いましたが、私は少佐を心から尊敬しています! 少佐は、その生まれや、降りかかった不幸を全て跳ねのけて、この地位まで登り詰めました! その強さは、今も私の目標です!」
彼の瞳は、強い意志の光を宿していた。
「それは、本当に建前ではないのか? 貴族であるおまえが、その『生まれ』で差別される私に同情して言っているのなら、説得力に欠けるがな」
私の言葉に、ウィルはまるで反発するように、一歩踏み出して言った。
「そんなことは絶対にないです! これは私の心からの本心です! 私の家柄など関係ありません!」
「フッ」
その強い、純粋すぎる眼差しに、私は思わず笑ってしまった。気を紛らわしくするためとは言え、少し可哀そうだったかとも思えた。
貴族という恵まれた立場にありながら、ウィルは私を対等な「軍人」として、いや、それ以上に「英雄」のように見てくれている。こんなふうに感情を剥き出しにする彼の姿を、私は少なからず気に入っているのだ。
そんな他愛のない、しかし私にとっては大切な会話を巡らせている内に、私たちは中央作戦室の前に着いた。
重い扉を開けると、そこにはすでに二十三名の軍人たちが着席していた。階級は少佐から准将まで。説明が始まるまでの間、彼らは同じ階級の者同士で、雑談を交わしている。私は、上官か部下としか話す相手がいない。空いている席を見つけ、無言で着席した。
作戦資料に目を通し終える頃には、準備が整ったようだ。二十三名の指揮官である者たちがスクリーンの前に立つ。それを見た将校たちは、会話を止め、一斉に立ち上がり、一糸乱れぬ動作で敬礼した。
「栄えある帝国第四装甲機動騎士団の諸君! 騎士団長のベルガルド・マイヤー中将だ! では、座ってくれ!」
マイヤー中将の威厳ある声と指示で、二十三名の将校たちは、一斉に席に着いた。
「諸君らは、日本及びフィリピン攻略の先遣隊である! 後続の部隊、約十個師団……実に十万五千の兵力が、今もこちらへ向かっている!」
マイヤー中将は、自信満々に胸を張りながら言い放ち、手に持った指示棒で、スライドに映し出された地図を指し示した。本格的な概要説明を始めた。
「諸君ら、そして後続で来る四個師団……合計約四万六千人には、主に日本攻略を担当してもらう! 日本を攻略する目的は、朝鮮半島及び中国への進行における、橋頭保(きょうとうほ)と駐屯地として確保することだ!」
彼は言葉を区切り、スライドが切り替わる。日本列島と大陸の図が表示された。
「そしてもう一つ、重要な目的がある。それは、中国への牽制だ! 現在、中国人民解放軍は、ネパール、ブータン、そしてタジキスタンの中央アジア方面で、我が帝国軍と激しい攻防戦を繰り広げている。そちらに人的資源を集中させている状況だ!」
やがて指示棒が、中国の海岸線をなぞる。
「もし日本が占領されれば、中国は、日本海側からの上陸を警戒せざるを得なくなる! そのために、海岸線に兵力を配置するか、新たな沿岸防衛部隊の編成を余儀なくされるだろう! 言うまでもなく、今の中国や、その属国である朝鮮半島には、そんな余力はない! たとえ兵力を捻出したとしても、それは交通や通信といったインフラを支える貴重な人材を引き抜くしかなくなる。これ以上のリソース割きは不可能だ! 以上が、日本攻略の目的概要である!」
マイヤー大将の長々とした説明が終わり、私は心の中で静かにため息をついた。壮大な戦略の一端を担うという重圧が、全身にのしかかる。
『上陸一時間前! 各員は格納庫に集合せよ!』
艦内アナウンスが響き渡る。それを聞いたマイヤー中将は、全員に起立を命じ、右の扉から中央作戦室を出て行った。他の将校たちも、その後に続く。
格納庫に到着した私は、外壁に備え付けられた球体型の窓から、目的地であるサイパン島を見下ろした。
眼下に広がるその光景は、もはや「楽園のような南の島」というイメージとはかけ離れていた。まるでファンタジー小説に登場する城塞だ。
海岸線に築かれた分厚い城壁の上には、巨大な要塞砲がずらりと並んでいる。私が見えるだけでも、合計八門。その全てが、戦艦の主砲に匹敵する、いや、それ以上の代物に見える。中には実際に戦艦の主砲として搭載されている三十五センチ二連装砲までもが四基、威圧的に空を睨んでいた。
その姿はまさに、海に浮かぶ絶壁。難攻不落の大要塞そのものだった。
四隻の巨大な輸送艦が、サイパン要塞の南側に増設された空中艦用の母港へと、ゆっくりと着陸する。ゴォォォ、と唸りを上げる機関音と共に、私たちを乗せた一隻が地面に降り立つと、ハッチが開いた。
「これが人間界の日差し、か……」
「眩しい……!」
あまりの光の暴力に、私と副官のウィルは思わず手をかざし、目を細めた。
「これが人間界の日差しでしか……想像以上に強いです」
「ああ、焼けるようだな……」
誰もが同じことを考えているのだろう。私たちを含めた二十三名の将校たちは、汗を拭いながら、基地の官舎へと歩を進めた。
この基地の官舎は、階級によって大きく三つに分かれている。
まず、私たち少佐から大佐までの者は、左側の官舎で副官と共に暮らすことになる。ここはまだマシな方だ。
問題は、准将から中将、つまり「閣下」と呼ばれる上層部が使う中央の官舎だ。個室付きで、その大きさは圧巻。中には貴族出身で、やたらと多くの従卒(従者)を連れてくる者がいるため、官舎の中でも一番広く、豪華絢爛な造りになっている。もちろん、マイヤー大将もそちらだ。しかし、こういう奴らほど、ろくな指揮もできず、真っ先に逃げ出すのが関の山なんだ。
私は中尉時代、まさにそういう貴族出身の無能な将校の下で戦った過去がある。プライドばかり高く、周囲の意見を全く聞かずに怒鳴り散らし、挙げ句の果てに敵前逃亡。その小隊で私が一番階級が高かったため、私が指揮を執って撤退させたが、その手柄は、全てその貴族の手に渡った。つまりはロクなことがないってことだ。
そんな愚痴にも似た過去を思い出しながら歩いていると、ようやく官舎に到着した。
「ここだな」
「はい」
ドアの機械に暗証番号と認識票のドックタグをかざすと、カチリ、とロックが解除される。ドアを開けて部屋を見渡すと……。
「……さすがに広いな」
「さすが少佐のお部屋ですね!」
と言っても、私には必要最低限の荷物しかない。それを寝室に運び入れ、整理を始めたところで、ウィルが慌てた様子で声をかけてきた。
「あの! 少佐! 基地司令のヘルマン大佐がお呼びです!」
「ん? 私だけか?」
「はい!」
私は一度、整理が終わったか寝室を見回して頷く。
「よし、私のほうは終わったから行くとしよう」 「お一人で、ですか?」
ウィルが寂しそうに答えた。まだ若い彼は、初めての戦線に不安を感じているのだろう。
「一人で来いという命令だ。それに、お前は少し休め。明日からは忙しいのだからな」
「はいっ!」
ウィルを休ませ、私は一人、基地司令官の執務室へと向かうことになった。
道中、空を見上げると、オレンジ色の夕焼けのグラデーションの中を、輸送艦が何隻も飛んでいるのが見えた。
(あの艦に乗っている兵士たちの中で、一体、何人がこの戦いで生き残れるだろうか)
きっと、あの女――帝国の最高権力者や、その取り巻きたちにとって、彼らの命など銃弾よりも安いのだろう。そして、私もまた、その使い捨ての駒の一つに過ぎないのかも知れない。そう思わずにはいられなかった。
島の中央には、巨大な城と曲線状のタワービルが融合したような、異様な建築物がそびえ立っている。まるで兵士たちを見下ろすように。
これこそが、サイパン前線総司令部城塞だ。全長は263m、横幅は180mという、途方もなく巨大な建造物であり、基地全体に魔力を供給する電波塔のような役割も果たしている。
私たちはこれを「レイラインシステム」と呼んでいる。マリアナ諸島のテニアンとグアムにも設置されており、さらにハワイにある太平洋方面総司令部には、これよりも巨大なシステムがあるという。
「改めて、近くで見るととんでもない威圧感だな……」
私は気を引き締め、司令部へと足を踏み入れた。そのままエレベーターに乗り込み、司令部の中枢が置かれている五十四階へと向かう。
エレベーターがどんどん上昇するにつれて、景色は急速に変化していく。それまで見上げるしかなかった分厚い城壁や要塞砲、そして兵士や住まう人々。それが全て、私の足元に広がっていくのを実感する。
(彼らは、物も人も等しく下にあるものであり、自分たちは常に見下ろす側だとでも思っているのだろうか)
あの女に、彼らに教えてやりたいものだ。人がそれを傲慢と呼ぶのだと。
エレベーターを降り、まっすぐ基地司令官の執務室へと向かう。最上階付近は司令部の中枢。当然、廊下には多くの見張りの兵士が立っている。
私が向かっている執務室の前にも、二名の兵士が厳重に見張っていた。
「ご苦労様です!」
二人の兵士が敬礼し、私も敬礼を返す。すると、彼らは重厚なドアを開けた。
「失礼します! ヴェルデ・ローアグル・アウスバッハ少佐! 参りました!」
「来たようだな! わざわざすまんな、ここまで来るのに苦労したろ?」
気さくに話しかけてきた彼こそ、サイパン前線総司令部要塞を預かる司令官、フェデリア・ヘルマン大佐だ。年齢は四十歳くらいだが、見た目は非常に若々しい。
「いえ、お久しぶりですヘルマン大佐!」
「二人しかいないんだ。昔のようにフェデリア叔父様と呼んで良いんだぞ!」 「……では、叔父様!」
ヘルマン大佐――フェデリア叔父様は、私がまだレイバルト侯爵の娘だった頃から、よく実家の宮殿に来ていた。侯爵の話によると、彼は分家の息子で、侯爵とは幼馴染らしい。家を追われた後も、色々と世話になっていた、旧知の仲だ。
会話をしながら、促されるままに執務机の前にあるソファに座る。叔父様も向かい側のソファに座り、真剣な表情になった。
「話というのは、君に大いに関係があることでね」
「と申しますと?」
「うむ。実は先日、敵の内通者から面白い情報が届いてな。これを見てくれ」
そう言いながら、叔父様は二枚の写真を私に見せた。
「これは……」
私は思わず、右側の一枚を手に取った。
「これは敵の新型オートクルスに関する情報の一つ。特に、パイロットに関してのものだ」
その発言に、私は自分の目を疑った。
なぜなら、その写真には、私と瓜二つの女性が写っていたのだ。その名には――「東郷せつな」と、書かれていた。
「なるほど……。これは確かに、私に大いに関係がありそうですね」
その瞬間、私の中で、日本侵攻作戦に対する強い興味が、一気に湧き上がったのを感じた。
蒼空のヴァルキリー・ディレクターズ・カット版 蒼本喜十 @ksdoug
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