まんぼお

第1話 まんぼお

あの大海でマンボオが

そのおおらかな命終を迎えたとき

この海岸からも

その横顔が見えたよ

見ひらかれた目に

やさしさはあった

でも　なぜ

人を見つめてるの

海はそこにあり

波はそこにあり

魚たちは

たゆたっている

わたしの足元から

さりさりと

砂が引いてゆく

でも　なぜ

今日がその日なのか

人はきっと　こわれていく

人は心をとかして

人を愛し

命をとかして

命を生む

見つめる思いが

人をはなれるとき

人はひとでなくなる

幾千万のさいぼうが

幾千万の愛を生み

幾千万の夢を

この子へ　そしてこの子へ　と

送り続けていたのに

もう　いま

ここで終えようとするの

ざんし………………

　　　　……………ざんし……………

　　　　　　　　　……………いたいよ……………

海に還るマンボウから届く

　　　　　　その痛みがあるうちに

　人よ

　　　いのちにかえれ