第2話 影の島の盟約

 裕政の次なる旅は、東南アジアの島国・フィリピン。

 風の王としての覚悟を得た彼のもとに、一通の手紙が届いた――差出人はサー・エリオットの弟子、ドクター・リカルド・モンテロ。彼はフィリピン北部の山岳地帯で、「エクスカリバーと対をなす闇の剣の存在」を記す古文書を発見したという。


 その剣の名は――“アスワング・ブレイド”。

 かつてスペインの植民地時代に現れ、幾度となく人々を呪い、喰らってきた妖剣であるという。

 現在、その剣の力は、妖怪「アスワング」と結びつき、島の奥地で人々を恐怖に陥れていた。


 裕政が訪れたのは、ミンドロ島のマングローブの森。

 そこでは村人たちが夜ごとに失踪し、痩せ細った影だけがさまよっていた。


「剣は選ばれるだけでなく、“試される”ものでもある」

 そう語るのは、現地で“影狩り”をする青年ハクラン。

 彼の家族もアスワングによって命を奪われていた。ハクランとともに裕政は、呪われた祠の地下へと足を踏み入れる。


 そこに待っていたのは、アスワングに取り憑かれた者たちの“合成体”。

 まるで肉塊のごとき怪物。その中心に突き刺さっていたのが、黒い刃――アスワング・ブレイドだった。


 裕政は問いかけられる。


> 「お前の刃に、闇すら受け止める覚悟はあるのか?」



 覚悟を決め、裕政は錆を脱ぎ捨てたエクスカリバーを振るい、アスワングの核を断ち切る。

 だがその瞬間、黒き刃が共鳴するように彼の心に語りかけてきた。


> 「いずれ、“光と影の融合”が求められる時が来る……」





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