「半分」の意味が分かればきっと、あなたは愛しくなると思います。

彼、葉山くんはどこで村瀬さんを好きになったのかな、とふと一話に戻って読んだ時、作者様の丁寧な描写から、すっかり彼の気持ちが滲み出ていることに気づきます。

静謐で淡々と進む会社の様子を描いた、込み入った人間関係の中に、一人ひとりに焦点を当てて、鋭くその情緒を描かれています。

一話ずつが大切なことを書かれているので、目が離せず、地の文に登場人物の心を細かく伝え、会話はそこから選び抜いた言葉が並ぶ。

厳しいようで実は外見とは裏腹に葛藤がつまっている人々が愛おしい。

大人たちの素直じゃない恋の駆け引きがぎっしり詰まった文学作品です。

ぜひ、じっくり味わって読んでほしい、オススメです。

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