彼方にて昇るもの
鈴隠
1
「降りちゃいけない階段って、知ってる?」
そう言ったのは、オカルト好きの友人だった。
深夜、ファミレスでコーヒーを啜りながら、いつもの怪談話の流れで出てきた話題。
私の住むこの町には、ちょっとした都市伝説があるらしい。
どこにあるのかは分からない。古い団地の裏階段、市役所の非常階段、小学校の外階段──
人によって場所も形もまちまちで、誰も正確なことを言わない。
ただ、その階段を降りた者は消えてしまう。共通しているのは、それだけだ。
「実際に降りた人がいるの?」と聞いても、「さあ?」としか返ってこない。
ネットにも似た話は出てこないし、どうやらこの町限定の、よくある口伝えの怪談らしかった。
正直、最初はありがちな話だと思った。
でも──その晩から、なんとなく気になって仕方がなかった。
私は、その階段を探してみることにした。
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