第5話、某の適性は何でござるか?
「さて改めて、私は副教科の担当、結城 紅音ゆうき あかねだ。よろしく。
先程、次の教科は体育だと言っていたな、…………………………あれは嘘だ!
体育の前に一時間分陰陽術の座学等を行う!」
「え〜!?」「う〜ん……。」「内容によるかな〜……。」「ヤッタァーー!!!」「微妙…。」「マジかよー!!」「ああ〜〜〜〜〜おわったぁ〜〜〜〜〜………。」
この反応は人によって違うようだ。
「気になる内容は〜〜〜〜!!
……………適性検査だ!」
「しゃぁーー!!!」「助かったーーー!!」「面倒くさい。」「終わりました。さようなら。」「まだ良いな……。」「命拾いしたぜ。」
色んな反応があるな、これはどんな授業なんだ?
「家でやった奴にはすまないがもう一度やってもらう!検査項目は適性属性、適性武器等だ。」
あ〜なるほど、俺は普通に嬉しいゾ。
いやーラクそうな授業で助かったぜ!
もちろんです!ギャグ寄り陰陽師学園モノとして、「適性属性検査」のシーンを小説風に清書しました。前の「武器検査」の雰囲気に合わせています。
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【第○話:適性属性検査(属性、時々爆発)】
朝のホームルーム後、担任の水無瀬先生が言った。
「今日は皆さんの《属性適性検査》を行います!安全第一でいきましょうねー!」
その笑顔が一番怖い。
俺は隅っこでそっと目を伏せた。目立ちたくない。できれば黙って通過したい。そう思っていた時期が、俺にもありました。
案内されたのはまたしても異様な施設。校舎裏にある……神社?いや研究所?なんで鳥居の奥に監視ガラスあるの?
中央には丸い石の柱が立っていて、そこに術式が刻まれている。
「この《五行盤》に触れると、お前の中に流れる霊気が属性として可視化される。
火・水・風・土・雷・光・闇、の七属性のうち、何に適性があるか判定するぞ」
「一つだけとは限らん。二つ以上持つ奴も稀にいるがな……まあほとんどは単属性だ」
「……ごくまれに“未分類”ってのも出るけど、それはまあ……なんだ、うん、気にするな」
それ、めっちゃ気になるやつだろ。
次々と生徒が触れていく。盤の中央が光り、属性名が浮かぶ。
「火!」「水!」「風・火の複合!」「雷属性きたー!厨二ー!」
俺の番が近づいてきた。ちょっと緊張する。
「望月煌羽、前へ」
……しょうがない。行くしかない。
俺はそっと五行盤に手を置いた。
キュィィィィィィィン……
盤が、震え出す。ビリビリッ……ピシッ……パチパチパチ……
(あれ? ちょっと、音おかしくない?)
教師A「……お、おい、なんか音が――」
教師B「おい待て止め――」
――ドンッ!!!!!!
次の瞬間、小規模な爆発音とともに煙が立ち込めた。
煙の中から、文字が浮かび上がる。
《火・風・水・土・雷・光・闇・???》
教師たち「誤作動だちょっとまて。」
生徒たち「だよな!」
◇ ◆ ◇
《風・闇・???》
「結局かよ」「やば……三属性持ち……」「しかも一個謎属性って……絶対やばいやつじゃん」
「チート枠だチート枠!」「絶対正体人間じゃねーよアイツ!」
ちょ、やめろ!ざわつくな!
(小声)「“???”出たの久々すぎて説明できん……マジで何……?」
「風と闇も相当強いのに、もう一個謎って……逆に怖いわ……」
俺はそっと手を引っ込めた。今さら「実は体調悪くてですね」とか言ってももう遅い。
完全に、目立ってしまった――しかも爆発つきで。
水無瀬先生はにこやかに近づいてきて、ポンと肩を叩いた。
「……お姉さん(=姉上)からは“できるだけ目立たせるな”って言われてたんですけどね?」
怖ッ!!
「大丈夫ですよ。私は“最大限に目立った上でフォロー”する主義ですから」
いや、それもそれで怖ぇよ!!!
俺の属性検査は、こうして異常な結果と共に終了した。
これが後に“風闇謎属性系男子”とあだ名される遠因となる……。
◇ ◆ ◇
属性検査が終わり、休む間もなく俺たちは移動させられた。
向かった先は――体育館……というにはデカすぎる、ほぼ神殿。
なんだここ。寺か? ダンジョンか? いや、どっちもか。
「よーし、静かにしろーい。今から《適性武器検査》を行う! バカなことすんなよ!」
先ほど倫理の授業をしていた鞍馬先生が、マイクでもないのに声を轟かせる。
魔力で反響してやがる……こええ。
「お前ら陰陽師にとって、武器は命より重い!
使いこなせれば命拾いできるが、合ってなけりゃ即死コースだ!
選ぶんじゃねえ。選ばれるんだ。覚えとけ」
おおー! と拍手と歓声。なんか、テンション上がってるの俺以外。
会場中央には、ぐるぐると紋様が浮かぶ不思議な石台。
その周囲に、ズラリと武器の幻影が並んでいる。刀、槍、弓、札、筆、錫杖、扇子、マイク、スリッパ、巨大フォーク……おい、混ざってるぞ明らかに。
「名前呼ばれたらこの《導印台》に手を置け。お前に合った武器を、式神が判断してくれる」
次々に名前が呼ばれ、生徒が台に手を置くたび、浮かぶ幻影。
「お、火属性・刀!かっけぇ!」「風・弓!よっしゃー!」と盛り上がる一同。
俺は目立たぬよう、影のように空気のように――。
「次、藤咲煌羽!」
くそっ! 読まれた!
仕方なく前へ。手を置いた瞬間――
――ヒュン……ヒュウウウウウウ……
周囲がざわめいた。幻影が、ぐるぐるとバグり始めた。
『ガガガ……ドカーン! カキン! ニョキニョキ! ERROR』
「……えーっと、はい、止まったぞー。えー…………望月、お前の適性武器は……」
教師が、何かを凝視して固まる。
「ヤツデのうちわ……って書いてある」
「え?」「え?」「ヤツデって、あの……?」
「うちわ? しかもヤツデ? あの庭にある変な葉っぱの?」
ざわめきが広がる。
「あー、あれだよね、昔のお祓いとかで神主が持ってるやつ。……地味すぎない?」
「武器じゃなくね?」「ていうか、風起こすだけじゃない?」
うるせぇ!!!!
幻影が揺らめき、俺の前に“それ”が現れた。
葉っぱ。でっかい。柄がついてる。うん、まごうことなき「ヤツデのうちわ」。
でも――なぜだろう。手に取った瞬間、なんかこう……しっくりくる。
パタパタと軽く扇ぐと、ちょっとした突風が吹き、他の生徒の髪型が乱れる。
「うわっ! なに!?」「すげえ風圧!」
教師ヒソヒソ:「……おい、もしかしてアレ、式神の反応……相当適正高いぞ」
教師2「……あいつ、うちわで戦う気か……お祓いの民か……?」
俺はうちわを構え、ビシッと仁王立ち。
「風を制す者が……教室を涼しくするッ!!!」(ドン!)
シーン……。
やべぇ、スベった。
でも――構えた瞬間、俺の中の何かが確かに反応した。
これが……俺の武器か。
ヤツデのうちわ。最強にして、最弱。
誰も選ばぬが、俺だけに応える武器。
……パタパタ。
「――はい次ー! 恥ずかしがってもいいけど、出番来たらすぐ動けよー!」
後ろからどんどん生徒が来てるが、俺のことは誰も真似しようとしない。
そうだ、誰もこの道を行かない。だが、それでいい。
風を、吹かすのは――この俺だッ!!!
(後にこの選定は、数名の陰陽師が本気で「マジでうちわってアリなんすか?」と確認しに行く事態となる)
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