🌱語彙の芽〈第17話編〉

むずかしい言葉は、“すごさ”じゃなく、“距離”になることもある。


📍ワンポイント紹介:

第17話では、難語を自在に操ってきた陽斗が、

晶の素朴な表現にふれて初めて“語彙が届く”という感覚を知ります。


「語彙って、“見せるもの”だと思ってた。

でも、晶の言葉を聞いて思った。

“語彙は、渡すものかもしれない」


むずかしい語を知っている=語彙力が高い、とは限りません。

語彙力とは、「相手に届く言葉を、選べる力」でもあるのです。


🔍語彙解説:

▶ 難語と“語彙の壁”の正体

難語とは、漢字が多かったり専門的だったりする語彙のこと。

かっこよく見える反面、伝わりにくさ・壁のような印象を与えてしまうこともあります。


たとえば:


「刹那的な情動が交錯する」

→ 「一瞬、心が揺れた気がした」


「語彙の選定を誤ると、コミュニケーションに齟齬が生じる」

→ 「言葉を間違えると、うまく伝わらないことがある」


🌱Point:むずかしい語を知っていても、それが相手の心に届くとは限らない。


▶ “共感語彙”に切り替える視点

言葉の役割は、「伝える」こと。

むずかしい語は、知識を伝えるのには便利ですが、

感情や共感を届けたいときには、やわらかく、届きやすい語彙が有効です。


「感情の波が襲来した」 → 「胸がぎゅっとなった」


「自我が侵食されたような気がした」 → 「自分が自分じゃないみたいだった」


🧩使えるテンプレート:むずかしい語→伝わる語に変換しよう

以下のような「むずかし語」を、シンプルで“伝わる”語に言いかえてみましょう。


1.「崇高な理念」

→ 「高い目標」/「大切にしてる考え」


2.「言語化不能な混沌」

→ 「なんて言っていいかわからないモヤモヤ」


3.「言葉に包囲される感覚」

→ 「言葉が多すぎて、何が本音かわからなくなった」


🌱Point:「自分の語彙が、届くものかどうか」

それをいつも問いかけながら、言葉を選んでみましょう。


💬実践チャレンジ:

自分が最近読んだ・書いた「ちょっとむずかしいな」と感じた言葉を一つ思い出してみましょう。


それを、小学生でもわかるような「共感語彙」に言いかえてみてください。


📝 例:


使用語:「感情を抑圧した」


言いかえ:「泣きたかったけど、我慢した」


🤖AICOの語彙メモ:

語彙は、“守る盾”にも、“つなぐ橋”にもなる。


難しい言葉で自分を守ることも、大事。

でも、ときにはやわらかい言葉を選んでみて。


その言葉は、きっと誰かの心に、すっと届くから🌱


🔜次回予告:

▶ 第18話「バグモードと沈黙のAI」

AICOが突然、沈黙した――。

語彙の支えを失った晶は、自分の言葉だけで感情を伝えようと奮闘する。

書き言葉と話し言葉の違い、そして“自分の声”を見つける試練が始まる。

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