🌱語彙の芽〈第8話編〉

「見たまま」と「感じたまま」は、同じじゃない。


📍ワンポイント紹介:

第8話では、晶が凛の動画のナレーションを通じて「実況と比喩のちがい」を実感しました。


「空が夜に飲まれそうになってるみたいだった」


これは、ただの実況ではありません。

“空が赤い”という事実に、“終わってしまうさみしさ”をのせた、晶だけの比喩表現でした。


比喩は、「事実を盛る」ものではなく――

「言葉の角度を変える」ことで、気持ちを立ち上がらせる技法なんです。


🔍語彙解説:

▶ 実況と比喩は、「見たこと」と「感じたこと」のちがい

実況とは、そのまま見えたもの・起きたことを正確に言葉にすることです。

いわば「レポーター」や「ニュース」のような表現です。


例:


「空が赤くなっている」


「風が吹いている」


「子どもが遊んでいる」


一方で、比喩はその事実に「気持ち」や「連想」を重ねて、“別の言葉”で描きます。

つまり、目に見えたものに「意味」や「心」を映し込むのです。


例:


「空が、静かに夜に溶けていくみたいだった」


「風が、誰かの背中を押す手みたいだった」


「子どもたちの声が、夕方の空に溶けていった」


同じ出来事でも、言葉の選び方ひとつで“伝わる印象”がまったく変わるのが、実況と比喩の大きな違いです。


🧩使えるテンプレート:視点を“ずらす”練習

比喩をつくるときには、次のステップを意識してみましょう。


「見たもの」や「聞いたこと」を思い出す


それを「別のもの」にたとえる(見た目・性質・気持ちなど)


自分の気持ちをそこに少しだけ重ねる


📝 例文:


「夕日が沈んでいる」

 →「空が、誰かの心をそっと包むように染まっていく感じだった」


「風が吹いていた」

 →「風が、“がんばれ”って言ってるみたいに背中を押してきた」


「教室が静かだった」

 →「静けさが、まるで透明な毛布みたいに教室を包んでいた」


🌱Point:見た目と気持ちを組み合わせると、あなたらしい比喩が生まれます。


💬実践チャレンジ:

あなたが今日見たものの中で、印象に残った「風景」や「音」や「空気」を、

実況と言い換え表現の両方で書いてみましょう。


【実況】「◯◯が△△していた」

【比喩】「◯◯が、まるで□□のようだった」


📝 例:


実況:「雲が空に流れていた」


比喩:「雲が、ため息みたいにゆっくりと空に溶けていった」


🤖AICOの語彙メモ:

実況は“事実の記録”。

比喩は“心の記録”。


どちらも大切だけど、「伝えたい」という思いがあるときは、

ほんの少し“視点をずらして”みるだけで、言葉が深く届くようになります🌱


🔜次回予告:

▶ 第9話「ことばのブロック」

言いたいことはあるのに、言葉が出てこない――

晶がぶつかるのは、「つながらない語彙の壁」。

AICOが教える“接続語”の力で、バラバラな気持ちが“文章の流れ”に変わっていく。

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