🌱語彙の芽〈第3話編〉

気持ちには、色がある。


📍ワンポイント紹介:

第3話では、晶が昔の作文を読み返す中で、“言えたはずの言葉”と再会しました。

小学生の頃は素直に書けていた感情が、今では「やばい」や「ふつうにいい」でごまかされてしまう。

その違いに気づいたとき、AICOが示したのは――


「感情を、色で言い換える方法」


「嬉しい」=ピンク、「焦り」=赤、「無気力」=灰色…

色は、心の状態をやわらかく、でも確かに伝えるツールになるんです。


🔍語彙解説:

▶ 感情×色で、ことばを深くする

AICOが使う「感情色マップ」は、感情と色を組み合わせて表現を広げる技法です。


以下は一例です:


赤(あか)

 → 怒り、情熱、緊張、衝動

 例:「胸の中に、赤い炎が走った」


青(あお)

 → 静けさ、不安、孤独、集中

 例:「青い空の奥で、心が静かにしぼんでいくようだった」


灰色(はいいろ)

 → 無気力、停滞、あきらめ

 例:「灰色の空気が部屋に沈んで、体が重たくなる」


オレンジ

 → 元気、友情、陽だまり、安心感

 例:「オレンジ色の声が、僕の背中を押した気がした」


緑(みどり)

 → 安定、希望、素直さ、癒やし

 例:「緑の風が通り抜けるような、さっぱりした気分」


紫(むらさき)

 → 謎、複雑さ、知性、優雅さ

 例:「言葉にできない想いが、紫の靄のように漂っていた」


🧩使えるテンプレート:

「〇〇色の〇〇が、△△のようだった」


例:「灰色の雲が、心の奥で静かに沈んでいた」


例:「赤い波が、一気に全身を駆け抜けた」


例:「オレンジ色の声が、胸のなかに灯った」


色を使うことで、“気持ちの温度や重さ”が読者にも伝わりやすくなります。


💬実践チャレンジ:

あなたの「今日の気分」、何色でしたか?


学校でちょっとイライラした → 赤?


誰とも話さず静かに過ごした → 青?


思いっきり笑って元気だった → オレンジ?


その色といっしょに、五感を組み合わせた文章をつくってみましょう。


📝 例文:


「灰色の空気が背中にまとわりついて、何をする気にもなれなかった」


「オレンジ色の光がまぶしくて、心の中にも小さな太陽が灯った気がした」


🤖AICOの語彙メモ:

感情を直接言うのが恥ずかしいとき、“色”がやさしく代わりに語ってくれます。

色は感情のフィルター。

赤・青・灰・緑――それぞれの色に、あなたらしい物語をつけてみましょう🌱


🔜次回予告:

▶ 第4話「日常語と比喩のあいだ」

“空がきれい”を、“青がこぼれ落ちそうな午後”に言い換えるAICO。

比喩表現の力に驚きながらも、晶は「言いすぎるとウソっぽい」と戸惑いはじめる。

リアルとポエジー、その“ことばの距離感”を探る回。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る