第7話|スープカレーと、隠しごと
秘密のように香るスパイスと、言いそびれた小さな違和感――
「カレーってさ、何入れても受け止めてくれるでしょ?」
そう言いながら、楓はにんじんを乱切りにしていた。
日向は冷蔵庫を開けて、「鶏肉ある、ナスも、パプリカも」と確認しながら頷く。
「じゃあ今日は、スープカレーだね」
「うん。ちょっと……スパイシーにしたい気分」
まるで、それが言い訳のようにも聞こえた。
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今日のレシピ|スパイス香るスープカレー(チキン)
材料(2人分)
* 鶏もも肉 … 1枚(約300g)
* 玉ねぎ … 1個(薄切り)
* にんじん … 1本
* なす … 1本
* パプリカ(赤・黄) … 各1/2個
* にんにく・しょうが … 各1片(みじん切り)
* トマト缶(カット) … 1/2缶
* 水 … 400ml
* コンソメ … 小さじ1
* サラダ油 … 適量
スパイス(または市販のスープカレーペーストでもOK)
* カレー粉 … 大さじ1
* クミンシード … 小さじ1
* ターメリック … 小さじ1/2
* ガラムマサラ … 小さじ1/2
* チリパウダー(お好みで) … 少々
* 塩 … 小さじ1/2〜調整
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作り方
1. 鶏肉は大きめの一口大に切り、塩をもみ込んでおく。
2. 野菜を食べやすく切る。にんじんは少し厚めが食感◎
3. 鍋に油を熱し、クミンシードを炒め、にんにく・しょうが・玉ねぎを加えてきつね色になるまで炒める。
4. 鶏肉を加えて焼き色をつける。トマト缶も加えて、水、コンソメ、スパイス類を入れる。
5. にんじんを入れて15分、他の野菜を加えてさらに10分ほど煮込む。
「スープカレーって、具が見えるじゃん?」
「うん」
「……だから、隠せないんだよね。入れたもの、味、辛さも」
その言葉に、日向は少しだけ手を止めた。
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味の感想(by 日向)
スプーンですくうと、具材がごろっと。
野菜が甘く、スパイスは深くて少しだけ刺激的。
スープなのに満足感があって、飲むたびに身体がぽかぽかする。
「……辛さ、ちょうどよかった」
そう言った瞬間、楓は少しだけ目をそらした。
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ごはんを食べ終えたあと、ふたりはいつもより言葉が少なかった。
けれどキッチンの残り香は、どこかあたたかかった。
きっとそれは、“ちゃんと作ったもの”だけが残す、静かな余韻。
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次回は「さつまいもごはんと、ぎゅっとする日」
炊きたての湯気と、たまらなくやさしい味。
秋が近づく季節に、心も少しだけ寄り添って――
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