第19話

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どれだけ走ったんだろう。


途中で一度ケーキを買って、それからノンストップで走り続けた車は人里離れた温泉に到着した。


長時間車に揺られていたせいで身体が凝り固まってる。




「思ってたより移動したな~」



「あー、スゲー肩凝った」




伸びをしたり腕を回したりしながら、みんな車から降りる。


そんな私たちに向かって、理事長は不敵に笑いながら声をかけた。




「もう受け付けは済んでおるのでの。好きなだけ温泉に入ってこい」



「あの、理事長と榊さんは?」



「わしらはあとでいい。ちと野暮用があるのでの」




それだけ言い残して、彼女はまた車に乗り込む。


「またすぐ戻る」と言って、そのまま走り去ってしまった。




「まぁここで待ってても仕方ないし、俺たちは先に温泉に入ってようか」



「そうだねー。温泉なんてなかなか来ないしねー」




そんな会話をしながら、敷地内に足を踏み入れる。


どうやら旅館も兼ねている温泉のようで、中には食事ができる広間や卓球なんかも置いてあった。




「瞳ちゃん、あとで一緒に卓球しようよー」



「ええ、いいわよ」



「ならペア組んで勝負しよーぜ」




ぺたぺたとスリッパを鳴らしながら廊下を進む。


受け付けでタオルと浴衣を受け取り、「また後でね」と言って女湯と男湯に別れた。

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