第8話

「優斗」



「えっ、僕ー!?」



「『優斗君はどうしてネクタイを蝶々結びにしてるんですか?』」




……………。


……………。


……………。




「………はい?」




え、なんの質問!?


ちょ、なんの質問!?


私の聞き間違い!?と、バッと瞬時にみんなの表情を見回せば。


どうやら私だけでは無いらしく、陽平以外のメンバーは探るように視線を泳がせていた。




「タイム!」




突然そう声を上げたのは綾で。


陽平を除いた4人に、集合するようにと指示を出す。


それに従って、円を組むように綾の元へと集まれば。




「おい、アイツは何言ってんだ?」




ぼそぼそと、陽平には聞こえない声でそんなことを言う。




「優斗がネクタイを蝶々結びにしてる理由聞いてたわよね?」



「一体なんのためだよ~」



「何コレもしかして僕何か試されてるのー!?」



「いや、陽平は真剣ぽいぞ」




ぼそぼそぼそぼそ。


彼の真意がまるで分からない5人で会話する。


陽平は疲れてるんじゃないかとか、何か思い悩んでいるんじゃないかとかまで会話が飛躍した頃。




「別に疲れてるワケでも思い悩んでるワケでも無いからね」




距離があるくせに、まるで全て聞こえていたかのようにそう告げる陽平。


ビクっ!と、私と優斗の肩が揺れる。


ちょ、怖い怖い怖い!


陽平に視線向けられない…!!

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