第5話
じと目で探るように陽平を見つめていると、ふと視線が絡んで思わず肩が上がる。
視線を絡めたまま、柔らかく目元を緩めた彼は。
「瞳ちゃん、何か言いたいことがあるみたいだね?」
至極優しい声で、そんなことを言った。
確かに雰囲気も表情も声色も優しい。
優しいけれど。
「…ぃえ、なんでもない、です」
「なんで急に敬語なの」
なんだか怖いから、なんて素直に口にするワケにもいかず。
「…気分よ」
苦し紛れにそう言えば、彼はくすりと吐息を漏らして笑った。
どうも見抜かれていそうでとても居心地が悪い。
誤魔化すように隣に座る昴を見つめれば、何かを感じ取ってくれたらしい彼は口を開いた。
「で、その用事っていうのはなんだ?」
核心部分をついた昴のそんな質問に、陽平はどこか悪戯な微笑を浮かべて。
「説明する前に、取り敢えずみんな外に出ようか」
平然とそんなことを言った。
………外?
「結局出掛けるのー?」
「つーかなんで外なんだよ」
ぶつぶつ言いながらも、存外素直にソファーから腰を上げるメンバー。
変に陽平に逆らうと怖い、ということを経験してきた結果だろう。
そんなこんなで、私たちは強制的に生徒会室から出ることになってしまった。
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