【第4話】初舞台の事前準備をしようぜww【#1】


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588.名無しのヴィラン

テロ配信待ってるからな!



589.名無しのヴィラン

是非とも盛大な祭りを見せてくれ!



590.イッチ

>>588

>>599 ああ!

絶対に面白いものをお前たちに見せてやる!



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※





「ふう」


は、パソコンの画面をそっと閉じた。

久しぶりにスレ立てしたからか、かなり緊張した。

新人くんも来てたし何よりアイツらにまた会えて、そして僕のことを覚えていてくれた。そのことが何よりも嬉しくてたまらない。


「さてと…出かける準備をしますかね!」


これからはずっとテロの準備で忙しくなる。そのためまずはこの閉鎖された座式から誰にも見つからずに外に出ないといけない。病的に過保護な使用人達は僕が出かけるとなると必ずや護衛をつけてくる。それは勘弁願いたいので書き置きを残して屋敷から脱出することにした。


僕は戸棚を開けて戸棚の天井を持ち上げて少しずらした。戸棚から天井によじ登り鼠のように天井をつたいながら裏庭に向かう。こういう時のために隠し通路を作ったのが功を奏し僕は誰にも見つかることなく裏庭に出ることができた。


ここは滅多に人は来ないとはいえグズグズしてたら見つかるのでさっさと抜け出してしまいたい。しかし裏庭を抜けたとしてその先は町に繋がっている。何としてでも見つかるわけにはいかないのでここで術を発動するのだ。


深く深く深呼吸して、己の胸の内に集中する。


「【████××××】」


自分の気配が薄くなる感覚の後、ふわっと体が浮いた。


「うんバッチリ」


そしてそのまま中に浮きつつ街全体を囲う"結界"を抜けたら僕は晴れて自由に行動できるようになった。


これから僕は大量の爆弾に船を用意しなくちゃならない。後は人を100人攫って人質にして……やることがいっぱいだあ。


「んー…まずは爆弾の調達かなー。ええっと、爆弾ってどこにあるんだろ?」


爆弾なんて触ったことないし(当たり前)、つくるにしても材料とか作り方とか分からないし(知らなくて当然)、結局盗むしかないのかなあ(←どうしてそうなった?)。


「盗むにしたって爆弾置いてあるところなんて知らな──いや、あそこならあるか」


爆弾があるかも知れない場所に当たりをつけ、そこに向かって僕は空中を歩きながら移動した。



◇ ◇ ◇ ◇



時々休憩を挟みながら進んで3日後、僕が向かった先はヒーローなら誰しも訪れたことがありここで働くことが憧れになりそうな場所、つまりヒーロー協会本部だ。


「確かここの地下には倉庫があったはず」


あやふやな記憶を頼りに壁を無視してすり抜けながらエレベーターの前まできた。そしてエレベーターの下のボタンを押ししばらく来るのを待ってエレベーターに乗る。そして気づいた。倉庫がある地下5階に行くには顔認証か名札に備えつけられたコードを提示しなければならないことを。


もちろん名札なんか持ってないので顔認証で行くことにした。先程同様、集中して今度は外から中、外から中という感覚を繰り返すことで僕の顔が作り替えられていく。


「うーん。記憶通りだとこんな顔だったような気がしたんだけど……」


僕はエレベーターに備え付けられたモニターに顔面を映す。これで通らなかったら本人を呼んで・・・・・・連れてって貰うしかないのだが。


するとピコンと軽快な音が聞こえ──


〈何階で降りられますか?〉


──電子音声が流れたということは、つまり成功したっぽい。


「地下5階の倉庫まで」

〈了解しました。地下5階に参ります〉


僕はすかさず行先を指定しエレベーターの扉が閉まったことを確認して壁にもたれかかりながらホッと息をついた。こんなに長い間透明になったことなかったので大分キツイ。何がきついかというと存在を気薄にしているからか世界が僕をいないものとして扱おうとしてるので何とか耐えているのである。


僕は少し透明化を解きエレベーターが開いたと同時に人がいないかどうかの確認をする。ここから先は異能封じの結界が発動しているから透明化は使えないんだよね。うっかり人と出会ったらいけないし一応確認しとかないと…。確認した結果、このフロアに人はいないようだ。僕は迷わず奥に進む。爆弾となると厳重保管エリアにあるはずだからね。


「っと、多分ここかな」


他の倉庫よりも一際厳重そうな金庫のような倉庫だ。ここももちろん名札やら顔認証やらが必要になるだろうと思って顔を近づけて見れば


「あれ?解除されない…」


──その後、色々試したものの解除されなかったのでおそらくここは名札やら顔認証やらがあっても開かないよう設定されているらしい。仕方なく金庫に干渉して探ってみればどうやらこの金庫は総司令官の権限が無いと無理みたいだ。


仕方なく一度エレベーターに戻り今度は9階のボタンを押す。ちなみにどの階を行くにしても名札と顔認証が必要だ。マジでめんどいシステムだと思う。9階は役員フロアであり会社のお偉い人達の専用部屋が並んでる場所だ。


そして目的の階に到着しエレベーターを降りて右手側にまっすぐいけば総司令官のいる専用部屋についた。え?どうしてここが総司令官の部屋と分かったのかって?そりゃ一度来てるからに決まってるじゃないか。こう見えても僕ってばえらい人だしー。


「お邪魔しまーす」


中に人が居ないことは確認済みなので遠慮なく透明化で壁をすり抜けながら部屋に入る。透明化なのは鍵がかかっていて入れなかったからである。久しぶりに見た総司令官の部屋は珍しく綺麗に整頓されていた。前来た時は書類が山を作っていて大変そうだったからね。確か今はアメリカにいるんだっけあの人。お疲れ様でーす。


総司令官の机にはハイスペックで高性能なパソコンが置かれていた。このパソコンって高性能を重視しすぎて社内でしか使えないんだよね、と考えながらパソコンを開きパソコンを干渉する。当然パソコンのパスワードとか分からないので干渉するしかないのだが。


「む?…これ何かに使えないかな?」


しばらく思案した後、自身のスマホを手に取りパソコンの画面をパシャリ。便利な時代になったよねー。


それから倉庫に関するデータを片っ端から開き、うまく干渉クラッキングしてあの厳重に閉められた倉庫を数分だけ開けることに成功した。あと僕が侵入した痕跡を消さないとね。バレたら怒られるしー。


そして諸々の後始末を終えたあと、5階倉庫まで転移する。座標メモっといて良かったわ。ようやく倉庫に侵入することに成功した僕は早速お目当てのものを探し始めた。


「うーん?────あ、あったあった。やっぱりあるよねー爆弾」


爆発物とご丁寧に印刷されたダンボールを開けると大量の爆弾がぎっしりと詰められていた。


「ヒーロー協会ならあると思ったんだよねー。だってヴィランを倒した後に回収された爆弾はどこに行くって話だよ」


稀に異能力者と呼ばれるもの達が存在するこの世界には数え切れないほどの悪が存在する。人々はその悪を総じてヴィランと呼び、反対に善をヒーローと呼んだ。当然、ヴィランの中には異能を持たないものもいる。そんな奴らの中には爆弾を使うやつだっている。


「よーし。ここでの用はもうないし次の準備をしますか!」


着々とデビューの日が近づいていく。

楽しいお祭りまであと少しだ。

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