続編に期待
- ★★★ Excellent!!!
「薬剤師が戦う小説を執筆しているんです」
けんたろん氏のその言葉に私は笑った。
薬剤師が戦う?どうやって?
「スパーテルで」
今度は腹を抱えて笑ってしまった。
よかったら読んでみてください、と紹介されたこの作品だが成程、AIに仕事を奪われる薬剤師というのは有り得なくもない未来だと納得してしまう。
尚且つ、本作は「薬剤師とはどうあるべきか」という壮大なテーマにも切り込んでいるように見える。
先にコメントを寄せている日暮氏も言及している通り、薬剤師という職業は何かとやっかまれるもので私は彼らが「中間管理職」の位置付けにあるのではないかと考えている。
患者を守るために医師に意見する彼らは患者から「早く薬を出せ」と毒づかれ、医師からは「私の処方に意見するのか」とでも言いたげに処方変更を躊躇される。
しかし一部薬剤師はそれでも戦うのだ。
勿論スパーテルを手に戦うなどといったものではなく、己の持つ知識を武器に戦い続けている。
薬剤師をテーマにした「アンサング・シンデレラ」
は「アンサング・ヒーロー(賞賛されない英雄、縁の下の力持ち)」をもじったタイトルである。
薬剤師が全員この「リストコード」のアヤのようなアンサングヒーローとなれるのか?
そうであればいいと私は願っている。
この先は余談であるが、小説家兼薬剤師の某氏は私にこの小説を勧めたまさにその日、薬剤のアレルギー歴がある患者に同類の薬剤が投薬されることを未然に防いでいた。
静かに患者の命を守る彼らに、陰ながら賞賛を。