GALAXY UNION 壮大なる宇宙と魂の物語

テツ冶・M

第1章 幸せの法則 プロローグ

 静まりかえった宇宙空間の中で、ある一つの恒星に異変が起こり始めた。その恒星は、急に膨張を始めたかと思うと瞬く間に倍ほどの大きさになった。その後一旦縮小を始めたが次の瞬間もの凄い閃光を放ちながら一瞬のうちに大爆発を起こし、この宇宙空間の中で灼熱のガスとなって消えてしまった。


 その恒星の寿命が来た訳ではなかった。その灼熱のガスとなって消えた恒星には幾つもの惑星が回っていた。その惑星の中には文明を持った惑星も存在していたが、当然その惑星も大爆発を起こした恒星と運命を共にした。

 この異変は、この広い宇宙空間の至る所で起り始めていた。大爆発を起こし消滅していく恒星には、必ず遅れた文明を持った惑星が回っていたのだった。


 一人の宇宙人が小型の宇宙船に乗って、アンドロメダ星から遥か250万光年離れた地球を目指していた。その宇宙人の名はアロンと言う。アロンを乗せた宇宙船シップは、異次元空間の中を光の何倍ものスピードで航行していた。やがてシップは、銀河系の近くで異次元空間を出た。アロンは宇宙空間の中に悠然と浮かんでいる銀河系を目の当たりにした。


 「シップ、これが銀河系か。我々のアンドロメダ星雲によく似ているじゃないか。よし、直ぐに太陽系を目指すぞ」アロンが宇宙船のシップに言った。


 そして宇宙船は、太陽系に入り太陽系の惑星を一つずつ見て回った。まず透き通った水色に輝く海王星と天王星の横を通り、土星のリングの内側を通過して横島模様の大きな木星を一周し、赤褐色の火星の近くに来た。次に金星と水星の横を通り、そして太陽の現状を調査して最後に地球の近くにやって来た。


 「アロン様、間もなく地球です」シップがアロンに伝えた。

 シップが徐々に地球に近づくにつれて、広い宇宙空間の中に浮かぶ地球が姿を現した。地球は、銀河の数えきれない星々をバックに、とてつもなく澄んだ青色をしていた。地球は、深い瑠璃色の海の青さの中に、白い雲のコントラストがとても美しく、地球を包む限りなく透き通った大気が、太陽の光に照らされ眩しく輝いていた。そして地球は、悠々とした偉大なる姿で宇宙空間に浮かんでいたのだ。


 「おー」

 アロンは、地球を見て思わず言葉にならない声を発した。地球は、アロンが今まで見てきた多くの惑星の中でも最も美しく、地球ほど澄んだ青い惑星を見たことがなかった。


 「アロン様、これが宇宙一綺麗な惑星と言われる地球です」

 「シップ、ありがとう。こんなにも遠い星に僕を連れて来てくれて。こんな素晴らしい地球が実際にこの目で見られて感動したよ。でも、この地球にも滅亡の危機が迫っているんだね。なんとしてでも我々のギャラクシーユニオンの力で、この美しい地球を守っていかなければならないな」アロンは、とてつもなく青く澄んだ地球を眺めながら言った。


 「アロン様、長老のお話ですと、この宇宙に存在するダークパワーが、文明の遅れた争いの絶えない惑星を次々と淘汰する為に、その惑星が回る恒星を大爆発させているそうですが、それは何故なのですか」宇宙船のシップがアロンに尋ねた。


 「長老は、この宇宙が誕生して以来続いていた宇宙の膨張スピードが、最近徐々に遅くなってきていることに気が付いたそうだ。それはこの宇宙を膨張させてきた宇宙波動エネルギーの力が減少してきているからかも知れないとお話だった。それに伴いマイナスの力のダークパワーが活発になり、宇宙に不必要と判断された惑星を淘汰しているのだと言われていた。そして近い将来この宇宙全体に何かが起こる予感がしているそうだ」


 「それで地球が回る太陽も大爆発を起こし、地球も滅亡するのですね」

 アロンは、宇宙区間に浮かぶ限りなく青い地球を見ながら黙ってうなずいた。

 「シップ、長老がこの地球には、宇宙を唯一救うことができる魂を持った人物が居ると言っておられたが、地球はまだギャラクシーユニオンに加入していないな。加入していない星を助ける訳にはいかないが、その人物は地球をギャラクシーユニオンに加入させられる力を持っているのか」


 「長老のお話ですと、その可能性はあるそうです」

 「その人物の名前や年齢は分かっているのか」

 「はい、天野雄介(あまのゆうすけ)と言う人物で、彼の魂が肉体に宿ってから、地球は太陽を17回まわっただけです」


 「そうか、まだ若いな。それなら天野雄介が、この偉大な宇宙の法則を知って成長していく姿と、彼の魂がこの宇宙の為に果たさなければならない役割を知って驚くのを見るのが楽しみだな」

 「そうですね。アロン様」


 「よし、シップ。一旦アンドロメダに帰って、今度は母船で来よう。そして天野雄介に会うぞ。急いで帰えろう」

 アロンを乗せたシップは、再び異次元空間に入りアンドロメダ星へ帰って行った。アンドロメダ星に帰ったアロンは、確認した太陽の状態を長老に報告し、そしてアンドロメダ星の政府機関にも地球を守る重要性と、天野雄介が何故この宇宙に必要な存在なのかも伝えた。その後アロンは、天野雄介に会う為に母船で再び地球にやって来たのだった。

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