第8話 ありふれた日常
朝、登校すると、教室の後の方に有った瑞菜の机と椅子が片付けられていた。
それを見て私は心が痛んだ。最愛の瑞菜は交通事故で死んだのだ。
と、何度、自分に言い聞かせても頭がモヤモヤする。
整理がつかない……。
瑞菜を失った心の繊細で儚さが節花と冬美を引き寄せたのだ。
皮肉なモノだ。
今、思うと瑞菜に告白したらどうなっていただろう?
女子同士の恋愛を受け入れてくれたのであろうか?
私はスマホを取り出してメッセージ交換アプリを見直すと節花と冬美とのたわいもない会話が刻まれていた。昨夜も夜遅くまでメッセージ交換をしていた……。
まだ、私の心は上書き保存が終わって無い。
私は節花と冬美をブロックするか悩むほど重症だ。すると、私の教室にダブルヒロインの節花と冬美が入って来る。
「てへ、瑞菜の机と椅子が片付けられたそうね」
節花が明るく言う、すべてお見通しか……。
私はスマホをしまい二人の気遣いに感謝するのであった。
その日の放課後、華道部の活動の終わりに不意に節花と進路の話しになる。
「私ね、医学部に行きたいの……」
その節花の言葉に私は驚く、私は適当に大学に進んで将来成りたい職業など分からないでいたからだ。
「お医者さんか、優しい節花にぴったりね」
私の瑞菜を失った心を愛してくれた。それは博愛主義と言ってもおかしくない。
「ても、迷っているの、医者になってお金を貯めて海外の医師団に入りたいの……」
凄い夢だ、是非叶えて欲しいが何故迷っている?
私は不思議に思い、節花に問いかける。
そして、その問に節花は『葉紀を支えたい』と言った。どうやら、私との遠距離恋愛は嫌らしい。
「今の時代、スマホで海外でも繋がる事が出来るわ」
私の言葉に節花は私の手を取り、頬を赤らめる。
「この温もりがいつも欲しいの……」
私は返事に困った末に……。
「とにかく医学部に入って医者にならないと、答えはその後でもいいわ」
「ありがとう、受験頑張る」
「節花ならきっと、医学部に入れると思う」
そんな会話が終わると私は自分の成りたい仕事を探す事にした。かなり、難しい答え探しになりそうだが、頑張ろうと思うのであった。
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