第5話 乙女の温室にて……
昼休み、私は今日も華道部で使う花をもらいに園芸部の温室に向かう。女子校である我校の園芸部は人気の高い部活だ。
「こんにちは」
「こんにちは」
私は園芸部の部員にすれ違うと丁寧に挨拶をする。部員の多くは可憐な女子高生であるが、流石に『ごきげんよう』は無い。
その中に居たのが冬美だ。
冬美は私を見つけると寄ってくる。私は告白の返事をまだ返していない。
ここははっきりと好意の理由を聞こう。
「冬美、何故、私に好意を持ったのだ?」
「葉紀の心が壊れかけのガラス細工の様に儚く感じたから。守ってあげたいのです」
小顔で小さなリスの様な冬美だが母性本能はあるらしい。儚くか……黒くの間違いだろ。
私は瑞菜を失い自分の心が黒く汚れた気分でいた。しかし、予想以上に私の心は輝いているらしい。
でも、瑞菜を失い、私の心が儚いのは事実だ。
すると、節花が園芸部の温室にやってくる。
「葉紀、帰りが遅いので来ちゃった」
あああ、冬美と節花のバッティングだ。
私がうろたえていると。
「貴女が冬美?」
節花の質問に冬美は静かに頷く。
沈黙の後、次の瞬間、声にしたのは冬美であった。
「ねえ、節花、私達、同盟を組まない?葉紀の心は今にも砕けそう、恋敵でもめるより、一緒に葉紀を支えたいの」
……。
黙り込む節花に私はまさかの百合3P!!!とか妄想してしまう。
節花は頬を赤らめる私を見て。
「いいわ、葉紀も嫌じゃ無さそうだし」
私は節花の同盟の合意に、やっぱり百合3Pなのか???と、戸惑うのであった。
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