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一〇年以上も前だろうか。小学生のころである。シューヘイが突然【時間城】――上水道の塔に行こうと言いだしたのは。
僕の地元の丘の上にその塔は建っていた。
正しくはO市M配水場といって一〇〇年近くも前に建てられた建造物である。西欧的な建築技法で建てられたとかで、さながらヨーロッパの古城のようなたたずまいをしている。市の景観重要建造物にも指定されてるそうだ。遠足で見学することがあって僕らは知っていた。
「なんでだよ」
と僕はいろいろな意味で文句を言った。
「これを見るでござるよ!」
そうして見せてくれたのがその写真だった。
夜の塔の窓際に小さな人影が映っていたのだ。
そのころシューヘイは前世紀の古いアニメの影響をうけていた。その塔は真の名前は【時間城】といい機械伯爵によってさらわれた人が閉じ込められていて、そのままでは機械の部品にされてしまう、助けないと、と熱弁してその人影の人物を助けるため夜中に潜入したのだった。
通常そのような設備は一般の人は入場不可になっており、遠足の時でも許可を取ってやっと中に入ることができた。
なのにその時は入り口が開いてたのだ。
そして導かれるように塔の螺旋階段を上った先にいたのがカナエだった。白のドレスの女の子だった。塔の一番上の階は丸い広い部屋になっていて中央に白のグランドピアノが置いてあった。それを弾いてたのが彼女だったのだ。
→https://kakuyomu.jp/works/16818622174491940456/episodes/16818622174492085111
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