ふしぎなお化け屋敷

ふしぎなお化け屋敷

世の中の子どもたちは夏休みの中盤。

私はショッピングモールに目当てのホラー小説を買いにやってきた。

「やっぱ、夏といえばエアコンの効いた部屋でホラー小説を読んで涼しくなることよね！」

　私は嬉しい気持ちを抑えて、急ぎ自宅へと向かう。

　と、ショッピングモールの吹き抜けエリアに人混みが見えた。

「なんだろう？」

　どうやらお化け屋敷が期間限定でできているようだ。お化け屋敷を体験したであろう若者の泣き声や叫び声が聞こえてきた。

　入口のポスターを確認すると代金は２００円。

「せっかくだから、行ってみようかな？」

　私は財布から２００円を取り出し、列に並ぶ。

　どれだけ怖いのだろうか、出口から出てくる人でてくる人、涙目だったり、息切れをしている。

　ワクワクしてきた。

　私の番になると、スタッフからお化け屋敷について説明がされた。

「この学校には不思議な噂があります。誰もいない学校にはまだ勉強を教えようと先生が授業をしているそうです。授業を受けてしまうとでてこれないらしいです。　気をつけて行ってらっしゃい」

　私はスタッフの説明に興奮して、顔がニヤけそうになるのを抑える。

　渡された、小道具の懐中電灯を持っていざ出発。

　中に入ると、そこは木造校舎の廊下だった。

　照明も夜のように暗く、入口は見えなくなった。

「セットが本格的ぃ！　ストーリーもいい感じだし、どんな驚きがあるのかな？」

　私はスキップをして探索をする。私に合わせて床板もギィギィと鳴っていた。

　バンバン　バンバン

　廊下の窓に赤い手形が浮かび上がる。

「うわぁ！　このセットどうやって表現してるのかな？」

　私のテンションは上がる。

「とりあえず先生を避けつつ、出口を探すのよね」

　私は廊下を道なりに進んでいくと、曲がり角に階段が見えた。

「さすがにイラストでしょ」

　階段の側まで行くと、それが現実だと気づく。

「嘘！？　本物？　魔法みたい！！」

　私は階段のをペシペシと叩いた。

　ギィギィ　ギィギィと廊下の軋む音が聞こえた。

「おばけの先生とのご対面！？　でも見つかったら終わりなんだよね？」

　私は階段下の隙間に懐中電灯を消し隠れた。

　ギィギィ　ギィギィと廊下の軋む音。現れたのは猫背で長髪の女性だった。

　彼女はボソボソと話していた。

「もうすぐチャイムがなりますよ。早く席についてください」

　とそのまま女性は２階へと上がっていった。

　私は口を自分の手で抑えて蹲る。

「このおばけやしきはなんて最高なの！？　あー、先生追いかけたいな。でもまずはクリアが先よね」

　先生に後ろ髪を引かれるが、私は、陽気な気分で曲がり角へと向かう。

　私は懐中電灯をつけ、廊下を歩いていく。

　しばらく歩いていると、背後からカシャン　カシャンと人が歩くには軽い音が聞こえた。

　私はそっと振り向くと、骨格標本がいた。

「おお！！」

　私は思わず近づことしまう。しかし、骨格標本もこちらに向かってきたため、私は追いかけられるイベントだと気づいた。

「わーん！　近くで見たいのにー」

　急いで道なりに進んでいくと、いつの間にか２年１組の教室の前に来ていた。

「こんだけ走らされたら、出口で息切れするわ」

　私は息をととえて、辺りを確認する。廊下の奥には昇降口。

「たぶんこのまま行っても外に出れるんだろうけど……」

　私は懐中電灯の明かりを消してそっと教室の中を覗いた。

　教室の中では先生が授業をしていた。生徒は椅子に縛られているようだ。

「それでは！　今から授業を始めます。授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を授業を」

「あら、そこにも生徒がまだいましたか。さあ席に着いて」

　先生の首が伸びて、私の元へ向かってくる。

私は慌ててドアを締め、走って昇降口へと向かった。それでも私は演出のすごさに興奮し、顔がニヤけていた。

　昇降口にたどり着き、私はドアを持って押したけれども、スッと布のように柔らかくなり、勢いで前に転倒した。

「大丈夫ですか！？」

　私は、スタッフさんに起こしてもらい立ち上がった。

「あの！　お化け屋敷面白かったです！」

　私は大声で職員に感想を伝え、この体験をすぐまとめたいので急いで帰宅した。