異世界転移という名目で拉致され、国を救う役目を負わされた普通の少年がいました。しかし失敗した責任を取らせられ、彼はどん底に落とされました。でも彼はそこで終わりませんでした。知識チートを駆使して、商人としてまた這い上がりました。変わり果てた姿と怒りと憎悪に満ちる心を持つ彼が、国を裏から牛耳るほどの財力と情報網を築いた理由は当然、復讐のため……そんなユニークかつリアリティがある作品です。
物語の背景設定と展開も秀逸ですが、主な登場人物たちの心理描写がかなり繊細のも見所です。主人公が過去との決別としてあえて禍々しい名前に改名など、細かいセリフと行動の一つ一つから激しい情念が感じ取れます。復讐のために非情になりきったつもりだが、それでも異世界には恩を受けた人がいたり、情が湧いた相手もいて、そんな複雑な思いを抱えながら修羅の道に突き進む……果たして主人公たちがどんな決断をするのか、最後までハラハラしながら読むことになるでしょう。