ツインターボ!!

志乃原七海

第1話プロローグ:砕け散る瞬間

第一話:二つの鼓動、運命の嵐


プロローグ:砕け散る瞬間


(深夜の高速。轟音と悲鳴。駆のバイクが、トラックに弾き飛ばされた。全身を走る激痛。視界が揺らぎ、血の味が口の中に広がる。最愛の彼女の笑顔が、脳裏に焼き付いたまま…)


「…ひかり…」


(同じ夜、別の場所。街の交差点。けたたましいクラクションと、ガラスが割れる音。ひかりを乗せた車が、暴走車に激突された。衝撃で身体が宙を舞い、意識は暗闇に落ちていく。家族との未来が、遠ざかっていく…)


「…駆…」


(病院の集中治療室。無機質な機械音が響き渡る)


医師A:「…両名とも、極めて危険な状態だ。時間の猶予はない。」


医師B:「臓器移植しかない。」


第一章:絶望の宣告


(重苦しい沈黙が、両親たちを包む)


駆の母:「…駆…お願い…生きて…!」


ひかりの父:「…神様…どうか…」


医師A:「…残酷ですが、現実です。移植できる臓器は一つ…」


医師B:「…どちらかを選ばなければならない。」


言葉のナイフが、両親の心を深く抉る。泣き叫び、絶望に打ちひしがれる。


(駆の両親)

母:「…どうして…こんなことに…!」

父:「…俺たちが…決めるのか…?」


(ひかりの両親)

母:「…ひかり…あなたの未来は…」

父:「…必ず…守る…」


(手術室。冷たい光が、器具を照らす)


医師A:「準備はいいか。」

看護師:「はい、先生。」


医師B:「…どちらに…」


選択の時。駆の心臓が、突然、激しく脈打ち始めた。


第二章:共鳴する魂


(手術台の上。駆の意識は、朦朧とする。)


駆(モノローグ):「…ひかり…」


(ひかりもまた、同じように、意識が遠のいていく。)


(その時、奇妙な現象が起きた。駆の心臓の鼓動が、ひかりの鼓動と呼応し始めたのだ。まるで、二つの心臓が、会話をしているかのように…)


医師A:「…何だ?心拍数が…!」


(駆の心臓の鼓動は、ますます速くなる。まるで、何かを求めているように…)


(ひかりの心臓も、同じように、激しく鼓動を刻む。)


(駆の意識が、再び浮上する…)


駆(モノローグ):「…この鼓動は…ひかり…?俺の中に…?」


(ひかりも、意識の淵から、駆の声を聞いた気がした…)


ひかり(モノローグ):「…駆…私も聞こえる…」


(二人の心臓は、まるで運命に導かれるように、共鳴し合う。)


医師B:「…信じられない…」


(手術室の光が、二人を包み込むように輝き始める。)


第三章:奇跡の予兆


(手術後、集中治療室。眠る駆の胸には、新たな鼓動が響いていた…)


駆(モノローグ):「…ひかり…?俺の中に…いるのか…?」


(同じく、ひかりの胸にも。駆の鼓動が、確かに聞こえる…)


ひかり(モノローグ):「…駆…私…生きている…」


(両親たちは、深い悲しみと、わずかな希望の間で揺れ動く。)


駆の父:「…駆…生きてくれ…」

ひかりの母:「…ひかり…奇跡を…」


(その夜、駆の父は、奇妙な夢を見た。駆とひかりが、手を取り合い、光の中を歩いている夢…)


(駆の父(モノローグ):「…これは…希望か…?」)


(一方、病院内では、何かが動き出していた。)


医師A:「…一体、何が…?」

医師B:「…2人の間には…何かある…」


(そして、その調査は、組織の耳にも届いていた…)


組織の男:「…面白い…利用価値がある…」


(第一話、終わり)


エピローグ:目覚めの刻


(駆は、かすかに目を開ける。新たな鼓動が、彼の胸に響く…)


駆(モノローグ):「…俺は…誰だ…?」


(ひかりも、目を開ける。そして、彼女の胸にも、同じ鼓動が響いていた…)


ひかり(モノローグ):「…私…生きている…?」


(二つの鼓動は、未来への扉を開こうとしている…)


(続く)

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