第6話 銃
『タァン!』
耳が痛くなるような音が静かな世界に響く。
「ふぅ…まあいいかな」
少々長いライフル銃を下ろし、バイクの牽引車に立てかける。
「えーと…弾は3発使って…」
イヤーマフをヘッドホンのように首にかけ、弾を数える。
「まあ…大丈夫か」
ライフルを使って射撃をしていた。
なぜこんなゾンビがいるわけでもない世界でライフルを持っているのかって?
それはね…
猛獣対策だよ。
熊とかがたまに出るからライフルを備えてあるんだ。
もっとも、ライフルも弾も銃砲店からかっさらってきたやつだけどね。
「いや〜、なんか自衛隊が使ってるような銃も使ってみたいよな〜」
なんなら一回駐屯地に入ったことはある。
でも、もう駐屯地には入らないって決めてる。
なんだよ、駐屯地に自衛官普通にいるんだもん。
筋肉マッチョの人がしれっと数人いてビビったもん。
「まあ…熊もそんな見ないしね」
警察署にも入ったことあるよ。
ワンチャン拳銃ゲッツできないか入ったことあるよ。
保管厳重過ぎてさ、取れないんだわ。
「だから結局銃砲店のライフルを使ってるってわけよ…」
まあ…お陰でライフルはもちろん、弾も装備も手に入ったんだけどね。
「いや〜。一回は自分で仕留めて自分で調理したいものだけどね〜」
弾やらを仕舞いながら独り言を呟く。
できるわけねーだろばーか。
「なんか今、心の中の私に罵倒された気がする…」
そんなこんなで手入れの手引きを見ながらライフルの手入れをし、ケースにしまった後サイドカーに乗っける。
「こんな大通りで銃をぶっ放せるってのも、終末世界の醍醐味だな〜」
もっとも、バ◯オとかなら嫌でも銃を使う羽目になるだろうけど…
「ゾンビはやだなぁ」
ゾンビがいないタイプの終末世界で良かったとつくづく思うよ…
「てか、もう夕方か〜」
やっぱ日が短い気がするな〜
「今日は道のど真ん中で野宿するかな〜」
いや、日が完全に落ちない内に寝れる場所探すか〜
「よいしょ」
バイクに跨りキックペダルを踏み込む。
『ブロロ…ブスン』
エンジンかかんない。残念
「ありゃ、もういっちょ」
『ガシャコン』
『ブロロロロ』
お、かかった
「よっしゃせいこーう!」
エンジン一発でかかんなかったから寝床見つかんないかもな〜、なんて事を考えながらアクセルをふかして出発する。
「本当になんなきゃいいけど…」
そう呟き、黄昏時の大通りを走ってゆく。
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