第4話 早起き

朝起きると…目の前が真っ暗だった…

まさか…死んだ…!?

「これ…どうなってんだ…」

手で前を押すと…

「毛布だこれ」

どうやら寝袋の中に入れていた毛布が顔に覆いかぶさっていたらしい。

「ぷはっ!なんで毛布が顔にかかってんだ!」

私…そんな寝相悪いのか?

「てか…今何時だ?暗いけど…」

右手首の腕時計を確認する。

どうやら5時過ぎのようだ。蓄光機能のある腕時計は便利なものだ。

「んー…はぁ…」

上半身だけを起こして体を伸ばす。

「秋とは言え、もう後半かな〜。流石に寒いや」

寝袋から出てブーツを履き、ジャケットを着る。

相変わらず重いなこの野郎。

「さ〜て、出発の準備をするか」

目をこすりながら寝袋と毛布を畳んでサイドカーに括り付け、カバーをかける。

「あ、そうだ」

牽引車の中から備蓄倉庫にあった投光器を取り出す。

「よいしょっと」

投光器を持って学校の敷地外に出る。

「ここらへんでいいかな」

塀を投光器で照らす…いや明るいなこの投光器。

ふと、投光器の光で出来た塀に映る自分の手の影を見て…

「ちょっとふざけちゃお」

影絵を作ったり、ポージングしたりと暫く自分の影で遊んだあと、満足した様子でスプレー缶を取り出す。

『シャコシャコプシュー』

スプレー缶を振って壁に吹きかける。

「これでいいかな」

"ここに食料あります"という文字を書く。我ながら綺麗な字だ(自画自賛)

これでもし生存者が通ったらすぐに分かるだろう。

昼間に限るけどね。

まあ…夜に移動する人はいないだろ。流石にね、

うん。

「それじゃ、この学校からもおさらばだな」

投光器とスプレー缶を仕舞って、バイクに跨る。

「さらだばー!」

ん?なんか違う気がするけど…まあいっか

キックペダルを踏み込んでエンジンをかけ、ヘッドライトをつけて発進する。

「いや〜!なかなか楽しかったな〜!」

明け方の薄暗さと静けさの中、ヘッドライトを輝かせてまたのらりくらりと走っていく。

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