これは驚く! 最後まで読むときっと驚く!
全編を通し、ひたすら「不条理」が描かれていくという印象で物語は進みます。
医者の死畑(柴田)と会った主人公の森下は、自分自身のこれまでの不摂生を指摘される。そして、「このままだと足がなくなる事態になる」とまで言われる。
医者として、どんどん人を不安にさせる発言をする死畑。なんだかとてつもなく胡散臭い。人を煽りに煽って金品をだまし取ろうとする詐欺の類か何かか……と、読者は警戒心を抱かずにいられません。
そんな死畑に半ば強制される形で、森下たちは「ケンコウのための場所」に連れて行かれることに。異常に足つぼを刺激してくるような石まみれの道や、下水道のような臭いがするスープなど、どう見ても人を苦しめるのが目的のような代物が並ぶ。
なんなんだこれは、「カ〇ジ」の地下帝国にでも送られたのか!? 最後にはブレイ〇メンロードでも渡らされるのか!?
そんな不穏さを醸し出しながらラストへと突っ走る。
―――その先で、戦慄!!!
いやあ、やられた。最後まで読み終え、また一から読みなおしたくなりました。
ちょっとした描写や、ちょっとした名前のチョイス。それらが持っていた裏の意味。
最後になって怒涛のように明かされる伏線回収。もう驚くしかない。
これぞ物語を読む楽しさというもの。不条理空間での葛藤を描いて読者を存分に楽しませた後、最後の最後で仕掛けを発動させてアッと驚かせてもくれる。
テンポよく飽きずに読めて、更に読後に衝撃という、まさに贅沢な仕様。作者の新たなる代表作がここに生まれた言えます。
是非とも、読むべし!!!
健康の小道ってご存じですか?
那智石を敷き詰めてあるレクリエーションコーナーのことです。歩けば足ツボに効くということで、公園とかにありますね。
人によっては激痛ゾーンとなるこの小道。特に不摂生を極めた森下には、耐えられるはずがありません。
これまで通りの生活を続けていれば、体を壊すこと間違いなし。
――――いや、もう壊れてる?
早急な対処が必要です。
強制的に怪しげな会に放り込まれた森下は、魑魅魍魎うごめくワークショップに参加します。
すべてはヘルシーのために。
最終話の怒涛のカタルシスが見事。
いやー、健康あっての物種ですね。
まずは読んで、レッツヘルシー。
不条理系短編の名手、SB亭moya さんの最新作です。今回もブイブイ言わせてますよ!
ジャンクフード漬けで不摂生を極めた主人公は、公園のイボイボ道に乗っかったときに、痛さでダウンし、病院に担ぎ込まれ、そのまま入院します。
その病院で、強引に入れられたのが、「会員制 健康の小道」。これがまたひどいコースで、とある山のふもとから山頂まで、イボイボ道を上りながら、さまざまな困難にぶちあたることになります。
小説の全編にわたって読者を混乱させた多数のフラグが、山頂ですべて回収され、スッキリ―。ってわけにもいかず、健康について深く考えさせられる好編でした。
今日のお昼は、ラーメンもかつ丼もやめときます。。