第2話 監獄の星
ドイツのマチルダさんという
従軍看護師だったひとが
墜落したUFOで生き残った
エアル、という名の宇宙人と
テレパシーで会話して
書き綴ったという極秘の記録、という体で
数年前に一部マニアの間で話題になった
エイリアン・インタビューという
物語があって
それによるとこの地球という星は
宇宙で大罪を犯したり
とてつもない問題を起こした魂たちの
監獄の星なのであると語られていて
かつてそれを読んだとき自分は
あ・それガチだわって
すとーんと腑に落ちたところがあって
以来その物語が自分の中ではノンフィクションの
位置づけに普通にあったりするので
人生、というよくわからない時間の中で
なぜろくなことしか起きないのか
ろくなことしかないのに
生き続けなければならないのか
無理やりにでも
ろくでもないことに抵抗をして
生きる使命だとか目的だとかを
設定するのがなんだか正しいような
そうでもして自分を説得して
生き続けなければならないような
そんな理不尽なルールが初めからある
監獄の星に幽閉されている、
罪人の魂のひとつであると
いったいぜんたい自分の魂は
そもそもなにをやらかしたのだろうかとか
でもひょっとしてそれ冤罪なんじゃないの、とか
思いめぐらしていると
ちょっと面白くなってきて
宇宙船に乗って片っ端からほかの星を攻撃したり
金塊を盗んだりいたいけな生命体を辱めたりして狼藉を繰り返す
宇宙海賊みたいな姿で宇宙空間を漂っていると
なんだか眠くなってきて
気づいたら朝がきて
再び、人間の姿で目が覚めた。
とても残念なことに
やっぱり
監獄の星の罪人として。
余談ですけど
ああ、だから常に
猫に監視されているのだな。
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